財務省主計局が実調を分析 「診療報酬単価の引き上げは適当でない」と主張
公開日時 2017/11/09 03:51
財務省主計局は11月8日に開催した財政制度等審議会・財政制度等分科会に、医療経済実態調査に関する分析結果を報告し、「公立病院を含めた一般病院の損益状況をもって、全国一律の診療報酬単価の更なる引き上げを行うことは適当ではない」との見解を表明した。その上で主計局は、公立病院の経営改善や必要な病床機能の転換、病床数のダウンサイジングなどを推し進めるべきと主張した。なお、財務省は10月25日の財政審分科会で、焦点の2018年度診療報酬改定について「2%半ば以上のマイナス改定が必要」と提案している。
この日、厚労省から発表された医療経済実態調査によると、2016年度の一般病院の損益率はマイナス4.2%、国公立を除く一般病院の損益率はプラス0.1%となっている。これに対し主計局の補足説明によると、「これらの計数については、集計上、損益率が高い医療法人の施設数の割合が実際より小さく、損益率の低い公立病院の施設数の割合が実際より大きいため、必ずしも一般病院全体の経営状況を適切に反映していない面がある」と指摘。実際の開設者別施設数の分布を踏まえた、各年度の損益率で判断する必要があるとした。
◎前回改定時(14年度)と比較すると「損益はむしろ改善している」
その上で国公立を除く一般病院について、実施の施設分布による加重平均による損益状況をみると、14年度改定時のプラス0.4%に対し、16年度はプラス0.6%となり、「損益はむしろ改善している」と分析した。
さらに16年度の一般病院の損益が全体でマイナス2.6%(補正後)となったことについて主計局は、「公立病院の損益損益率がマイナス13.7%となった影響が大きい」と分析。公立病院の経営状況について、平均単価は増加したものの、特に小規模の公立病院を中心に患者数の減少により、収益が押し下げられているとした。
◎診療報酬引上げでなく、病床転換や病床数のダウンサイジングで対応を
さらに、費用面では、給与比率、医薬品比率、減価償却費率が高いことが指摘されていると強調。「新公立病院改革ガイドライン」に沿った病院経営改革や、地域の医療ニーズや人口減少などを踏まえた病床機能の転換やダウンサイジングなどを後押しすべきとの見解を表明した。