クインタイルズIMSは８月２日、2017年第２四半期（４～６月）の国内医療用医薬品市場が薬価ベースで２兆6199億7000万円、前年同期比で0.8％減だったと発表した。薬価改定のない新年度入りとなるが、C型肝炎治療薬ハーボニー配合錠が前年同期比76％の大幅減収となったことや、17年２月に緊急的に薬価が50％引き下げられたがん免疫療法薬オプジーボの15％減が影響した。一方で、ＭＲによるカルテ閲覧問題が浮上した抗凝固薬イグザレルトは売上178億円、前年同期比7.8％の増収を確保した。

文末の「関連ファイル」に17年４～６月の医療用医薬品市場全体、上位10薬効、売上上位10製品などの資料を掲載しました（８月３日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります）。

前回薬価改定のなかった15年第２四半期の医療用薬市場は7.9％増だった。前年の16年第２四半期は、４月に市場平均で６％強の薬価引き下げがあったにもかかわらず、市場は2.5％増となった。この時はハーボニーやオプジーボの急拡大が市場拡大に寄与した。

市場全体の四半期ベースでの前年割れは、16年第３四半期（７～９月）から４期連続となる。

17年第２四半期の医療用薬市場を市場別にみると、100床以上の病院市場は１兆1298億円（1.3％減）、99床以下の開業医市場は5232億円（0.3％増）、主に調剤薬局で構成される「薬局その他」（以下、薬局市場）は9668億円（1.0％減）――。このうち開業医市場は16年第１四半期（１～３月）以来のプラス成長となる。

■売上１位はアバスチン　ハーボニーは９位に後退

17年第２四半期の売上トップ製品は、前年同期２位だった抗がん剤アバスチン（売上289億円、前年同期比2.1％増）となった。

前年同期１位のハーボニーは９位に後退した。ハーボニーの前年同期は売上697億円だったが、17年第２四半期は売上170億円、前年同期比では75.6％減となる。12週の投与でほとんどの患者で根治が期待できることから市場は縮小しており、クインタイルズIMSの公表資料から同剤の四半期ごとの売上推移をみると、16年４～６月が697億円、７～９月が448億円、10～12月が297億円、17年１～３月が203億円、17年４～６月が170億円――と右肩下がりが確認できる。

前年同期３位のオプジーボも今回４位に後退した。前年同期は売上265億円、17年第２四半期は225億円と、14.7％減となった。薬価の緊急的引き下げに加え、競合薬キイトルーダが17年２月に上市したことも、オプジーボの減収に影響している可能性がある。

17年第２四半期の製品上位５製品は、１位がアバスチン、２位が抗潰瘍薬ネキシウム（256億円、3.7％増）、３位が疼痛薬リリカ（233億円、8.5％増）、４位がオプジーボ、５位が抗リウマチ薬レミケード（208億円、1.2％減）――。

■抗凝固薬イグザレルト　四半期ベースで売上増加

抗凝固薬イグザレルト問題が報道や国会で取り上げられていた今年３月～５月にかけて、バイエル薬品はＭＲを対象とした褒賞付きのインセンティブ・プロモーションを実施していたことが本誌取材で明らかになった（記事は、こちら）。

この間のイグザレルトの売上推移をクインタイルズIMSの公表資料でみると、17年１～３月は167億円（前年同期比23.0％増）、４～６月は178億円（同7.8％増）――で、四半期ベースでは売上が伸びていた。17年第２四半期（４～６月）の製品別売上ランキングは７位。

■薬効分類別　抗腫瘍薬市場がトップ堅持

薬効分類別にみると、抗腫瘍薬が売上2581億円（6.1％増）と薬効分類別の市場規模ランキングでトップを堅持した。２位は前年同期３位の糖尿病治療薬で売上1424億円（5.2％増）、３位は前年同期４位のレニン-アンジオテンシン系作用薬（1242億円、5.6％減）だった。

前年同期に一気に２位まで順位を上げた全身性抗ウイルス薬は、17年第２四半期は売上823億円（42.3％減）となり、９位に後退した。C型肝炎治療薬の大幅減収が背景にある。