薬食審 7月27日に第二部会 新薬4製品を審議 ファイザーの乳がん治療薬イブランスなど
公開日時 2017/07/14 03:52
厚労省は7月27日に新薬の承認の可否などを検討する薬食審・医薬品第二部会を開催する。ファイザーが承認申請した乳がん治療薬イブランスカプセル(一般名:パルボシクリブ)など新薬4製品を審議する。イブランスは世界初の経口サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬で、発売2年目となる2016年の世界売上は21億ドルと急成長している。
【審議予定品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
▽ケブザラ皮下注150mgシリンジ、同皮下注200mgシリンジ、同皮下注150mgオートインジェクター、同皮下注200mgオートインジェクター(サリルマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):関節リウマチを対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
完全ヒト型抗IL-6 受容体モノクローナル抗体。IL-6 シグナル伝達経路を介して関節リウマチの炎症を阻害する。IL-6 は、関節リウマチ患者の血清中および滑液中に最も多く見られるサイトカインで、IL-6 のレベルは疾患活動性および関節破壊と相関する。
▽ルパフィン錠10mg(ルパタジンフマル酸塩、帝國製薬):アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
創製元はスペインのユリアック社で欧州を中心に世界60か国以上で「Rupafin」などの製品名で販売されている。海外ではアレルギー性鼻炎および蕁麻疹が適応症となっており、1日1回経口投与で用いられている。
▽アクテムラ皮下注162mgシリンジ、同皮下注162mgオートインジェクター(トシリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):高安動脈炎、巨細胞性動脈炎を追加する新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品に指定されている。
高安動脈炎、巨細胞性動脈炎とも国の指定難病。高安動脈炎と巨細胞性動脈炎の2つの亜型からなる大型血管炎は、血管の炎症により動脈狭窄、動脈瘤などが発現する。病変部位によっては脳梗塞、弁閉鎖不全症、腎機能低下などの重篤な臓器障害をきたすことが知られている。第一選択薬のステロイド剤の長期投与により重篤な副作用や、ステロイド剤の漸減過程で再発がみられることから、新たな治療選択肢が望まれていた。国内患者数は推定7000人とされる。
▽イブランスカプセル25mg、同カプセル125mg(パルボシクリブ、ファイザー):乳がんを対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6を阻害する新規の経口分子標的薬。CDK4/6は細胞周期の調節に主要な役割を果たしており、細胞増殖を引き起こす。パルボシクリブはCDK4及び6を選択的に阻害して細胞周期の進行を停止させ、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
厚労省の担当官によると、イブランスは閉経の有無にかかわらず使用でき、基本的に併用で用いる。このため、「併用薬のひとつ」(担当官)となる抗エストロゲン剤フェソロデックス筋注250mg(フルベストラント、アストラゼネカ)の現在の効能・効果である「閉経後乳がん」から「閉経後」の制限を解除することを同日の部会に報告する。このフェソロデックスの部会報告については、イブランスの審査に間に合わせるため、迅速審査に指定した。
■2剤目のレミケード・バイオシミラーを部会報告へ
【報告予定品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
報告品目は、PMDAの審査段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断されたもの。
▽インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」/同BS点滴静注用100mg「あゆみ」(インフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ後続2]、日医工/ヤクハン製薬):関節リウマチ、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎を対象疾患とするレミケードのバイオシミラー(バイオ後続品)。日本化薬のレミケード・バイオシミラーに続くもの。
▽アブラキサン点滴静注用100mg(パクリタキセル、大鵬薬品):胃がんに対して、現在は3週間に1回投与で用いるが、1週間に1回投与も可能にする。申請区分は新用量医薬品。
▽フェソロデックス筋注250mg(フルベストラント、アストラゼネカ):現在の効能・効果である「閉経後乳がん」から「閉経後」の制限を解除する新効能・新用量医薬品。迅速審査に指定。同日に審議される乳がん治療薬イブランスと併用することがあるため、「閉経後」の制限を解除する。