PhRMA 輸入反対声明 日本の偽造薬問題にも言及
公開日時 2017/02/17 03:50
米国では現在、高薬価対策の一環として、医薬品の輸入解禁が論議されているが、PhRMA(米国研究製薬工業協会)は2月13日、安全性の観点などから輸入に反対する声明を発表した。その中で、偽造医薬品問題について製品名の名指しこそしないものの日本のC型肝炎治療薬ハーボニー配合錠の偽造医薬品に言及した。
PhRMAは、米国は閉鎖されたサプライチェーンにより偽造医薬品や変造医薬品からは最も安全な体制となっているが、それらの脅威はなくなっていないと指摘、輸入を解禁するとこのリスクは劇的に増えるとの懸念を示した。
その上で、最近の偽造医薬品の製造業者/流通業者(偽造者)の工作が巧みになっている現状を説明。C型肝炎治療薬偽造医薬品の国際的流通実態を紹介した。
PhRMAは、イスラエルでC型肝炎治療薬偽造品が発見された実例を示し、現在までに、インドの偽造者が偽造C型肝炎治療薬の開発・販売を開始、スイスの企業を通して、イスラエルとスイス国内へ持ち込んだことが分かっているとしている。現在、関係当局が他国へ流入していないか調査している。
その最中に、パキスタンで同偽造薬を製造中の工場が発見され、さらに、日本の正規サプライチェーンで同偽造薬が発見された。以上の偽造薬が同じソースからのものかどうかは不明である。
PhRMAは、このような実態が輸入の持つリスクを浮き彫りにしていると指摘している。そのうえで、PhRMAは、カナダを含め他国政府が、当該国から、あるいは当該国を経由して米国に入る医薬品の安全性・有効性は保証できないと話していることを引用、「米国境で大量の外国製品に門戸を開くことは我々の医薬品流通システムの安全を脅かし、患者を不必要な危険に晒すかもしれない」と警鐘を促した。