帝人・新中計 公的保険外領域の事業創出目指す ファーマ新社長に鍋島専務が昇格へ
公開日時 2017/02/07 03:50
帝人は2月6日、2017年度から19年度までの新中期経営計画を発表した。ヘルスケア事業では既存の新薬、在宅医療に加えて、ICTを活用した公的保険外の健康増進をデジタルヘルスケアで支援する事業の創出などにも取り組むことを打ち出した。それにより「未病、疾病、介護」の全ての領域に対応するヘルスケア事業基盤の構築を図り、成長の強化を図る。
新中計では、マテリアル事業領域とヘルスケア事業領域の2本柱とする経営体の確立に向け取り組む。ヘルスケア事業では、既存の新薬、在宅医療を成長領域と位置付け、医薬品では高尿酸血症治療薬フェブリク、再生医療を含むパイプラインの強化を図る。これに新たに「発展戦略」を加え、「従来の保険医療に捉われない、非保険領域も含めたヘルスケア総合サービスを提供する」と表明した。
健康増進支援を目的としたデジタルヘルスケアや、リハビリロボット、ICT活用による新規診断・治療機器、介護ITサービス、人工関節など整形インプラントデバイス、機能性食品素材などの製品・サービスを拡充する方針。拡大が見込まれる在宅医療領域においてはネットワークシステムの導入拡大、在宅医療コールセンターへのAI導入、提供する医療機器のIoT化を進める。ヘルスケア事業の発展戦略プロジェクト売上高は、現在は100億円未満で詳細な数字は開示していないが、中計中に数百億円、2025年度には1500億円程度を見込む。
新中計の実施に伴い4月1日付で役員人事を行い、ヘルスケア事業では、現在帝人グループ取締役専務執行役員ヘルスケア事業グループ長で、帝人ファーマ代表取締役社長を務める宇野洋氏が、帝人グループに新設される「ヘルスケア事業統轄」に異動する。後任の帝人ファーマの新社長には、現在帝人ファーマ専務取締役の鍋島昭久氏(写真)を充てる。
鍋島昭久氏は1960年1月生まれ、57歳。1982年3月に大阪経済大学経営学部を卒業後、帝人入社。2012年4月に帝人ファーマ在宅医療営業部門長兼帝人在宅医療代表取締役社長兼スリープメディカルサービス代表取締役社長、2013年に帝人ファーマの取締役に昇格した。2015年4月から帝人グループ執行役員、帝人ファーマ専務取締役(在宅医療事業本部長 兼 在宅医療営業部門長)を務めている。2017年4月からは帝人ファーマ代表取締役社長(在宅医療事業本部長)となるほか、帝人グループでは常務執行役員ヘルスケア事業グループ長となる。