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精神科領域の最適な個別化医療と多職種連携可能に 大塚デジタルのWatson活用ソリューションで

公開日時 2016/07/29 03:51

桶狭間病院藤田こころケアセンター(愛知県)の藤田潔理事長は7月28日、大塚デジタルヘルスが1日に発売した人工知能Watsonを活用したデータ分析ソリューション「MENTAT」(メンタット)の共同開発者として同社プレスセミナーで講演し、「急性期から退院後まで一人ひとりにより最適なケアが可能になると考えられる」と指摘した。メンタットは膨大な電子カルテデータを自動分析し、患者ごとに重点的にケアすべき内容を明示・共有することを可能にする。それにより、患者個々に合った医療、院内外の多職種による介入がしやすくなったと、メンタットの活用の経験を踏まえて話した。

藤田氏によると、精神科医療が国の方針で、病院中心から地域医療への「地域移行」が本格的に進められる中、病院としては▽早期退院を意識した多職種連携による治療計画の立案と実施▽退院後の症状の再発防止に向けた多職種による地域連携の強化――が求められている。クリニカルパスで対応してきたが、治療の標準化は図れるものの、個別性が高い精神疾患には十分に対応できない面があるという。そこでメンタットと組み合わせることで「患者の個別性に対応が可能」になり、早期退院と再発防止に寄与できる可能性があることを、昨年5月の運用開始以降の経験から説明した。

メンタットは、電子カルテの内容を分析して、治療対象患者の治療難易度の提示、隔離の経験や病識、治療中断経験、身体合併症、身近な支援者の有無など長期入院と再発に影響を与える因子を自動抽出。また、過去の同様のケースの患者の治療経過と結果なども示す。それら分析結果を一目で分かるグラフ等で示すことから、同センターでは、多職種がカンファレンスを通じて重点的なケアが必要な患者と重点的な介入が必要な課題を洗い出し、協働で解決に取り組む。それにより退院を早めることが可能という。また、退院後についても患者の療養環境情報を踏まえ、デイケアや訪問看護、患者家族教育などの個々に合った提案がしやすくなったという。

藤田氏は、「メンタットから得られた情報をもとに、患者さんの現在の状態、今後の治療方針、退院後に必要な関わりが見えてくる」と述べ、急性期から退院後までの個別化されたケアを提供できる可能性が高まることを指摘した。

大塚デジタル・清水社長 「新しいアプローチによる医療貢献目指す」

大塚デジタルヘルスの清水泰喜社長は同日のセミナーに出席し、創薬以外の「新しいアプローチによる医療貢献を目指す」と強調した。「患者さんの情報を扱うということで、大塚製薬とは切り分けて分社化した。そのため直接に大塚製薬のシナジー効果につながるわけではないが、(グループとして)目指している方向は医療に貢献することにある。子会社として医療の役に立てることで、親会社のシナジーにつながっていくのではないか」と話した。

メンタットは、IBMのWatsonの技術と大塚製薬の主力である中枢神経領域の知見を融合して開発された。大塚製薬と日本IBMが6月17日に設立した大塚デジタルヘルスが販売会社となり、7月1日に発売した。当面は中枢神経領域での販売に注力する。

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