MSD 新規作用の不眠症治療薬ベルソムラ錠を発売
公開日時 2014/11/27 03:51
MSDは11月26日、新しい作用の不眠症治療薬ベルソムラ錠15mg、同20mg(一般名:スポレキサント)を発売したと発表した。覚醒を維持する神経伝達物質であるオレキシンの受容体への結合をブロックすることで、過剰な覚醒状態を抑えて睡眠状態へと移行させるという、これまでにない作用を持つのが特徴。就寝前に1回20mg(高齢者15mg)を服用する。
現行の不眠症治療薬には不安を抑えたり鎮静を促す受容体と結合して作用するベンゾジアゼピン(BZ)系薬剤などがある。今回発売された薬剤はオレキシン受容体拮抗薬と呼ばれ、承認されたのは世界で初めて。原発性不眠症患者638例(成人と高齢者、日本人155例)を対象にした国際共同プラセボ対照のフェーズ3試験では、3カ月間投与したとき、プラセボと比べ、早く入眠でき、睡眠を長くする効果が得られた。
試験の6カ月間の副作用は53例(20.9%)で主なものとして傾眠(4.7%)、頭痛(3.9%)、疲労(2.4%)であった。医療者向けの「適用使用ガイド」では、同剤と関連性が疑われる要因はあるが、臨床データとして十分な確認はされていない「潜在的リスク」として、ナルコレプシー様症状、睡眠時随伴症、夢遊症、自殺念慮、自殺行動、依存性を挙げ、注意を促している。
薬価は15mg錠89.10円、20mg錠107.90円。薬価算定時には、新規作用により「患者に新たな選択肢を提供する臨床上有用な薬剤である」と評価され5%の加算が認められた。