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アルツハイマープロジェクト・J-ADNI 患者登録時に不適切な修正も改ざんは認められず 東大調査で

公開日時 2014/06/25 03:52

臨床データの書き換えが指摘された、アルツハイマー病総合診断体系実用化プロジェクト「J-ADNI(主任研究者:東京大・岩坪威教授)」をめぐり、東京大学は6月24日記者会見を開き、患者登録時に不適切な修正がみられたほか、同意書のない被験者の組み入れがなされたことを認めた。ただ、悪意のある改ざんとは断定できないとし、「不適切な担当者による不適切な修正があった」とするにとどめた。調査委員会が5月20日にまとめた最終報告の中で指摘した。


調査報告書では、①一部研究者とデータセンターの連携が悪く、役割分担と指示命令系統が未熟で、外部評価委員会も機能していなかった、②データ管理の方法やモニタリングなどが十分整備されないまま研究が開始された、③データベースの不具合が多くみられた―と説明。これらの複合的な要因を背景に、修正方法、修正の権限、修正履歴の保存法が確定していなかったとした。なお、データセンターはエーザイから出向したバイオ組合職員が専任となっていた。


特に、被験者登録基準については、十分な合意が得られないまま研究がスタートしたと指摘。被験者のデータ管理の詳細な手順が定まらないまま被験者登録がスタートしたとした。データセンターにおける修正方法、修正の権限、修正履歴の保存法などが確定していなかった。そのため、修正が必要な場合は、電話による口頭やメールによる修正確認を経て、不適切な修正が一部の被験者で行われたとした。

結果として、本来は研究者側が行うべき修正を「データセンターの自主性が強くなり、すでに同様の事案の経験がある場合には、データマネージャーが修正の指示を行った」とした。また、複数の研究者で合議すると定められていた案件についても、データセンターと主任研究者の判断で決定される事案が増加したと指摘した。


ただし、データの書き換えなどはなく、「記入欄の訂正で、研究成果に影響のない通常業務と考える」と指摘。「東京大学におけるJ-ADNIに関する調査、J-ADNIの研究成果のいずれにも影響を与えるものではない」とした。


研究は、被験者の組み入れは終了し、約50例の経過観察を残すのみで、あと数か月で終了する見込み。データについては、「神経科学の専門家の第三者で構成される委員会によるクリーニングを行い、J-ADNIとして了承を得たデータを公表し、広く利用可能なデータとして提供すべき」とし、研究の進行を支持した。ただし、「すでに発信された英文論文に対する疑義が発生していることから、報告された論文内の対象被験者の適格性については検討すべき」とした。


東京大学理事の苫米地令氏は、厚労省の依頼を受け、調査権限がない状況で可能な限りの調査を実施したと説明。38施設が参加する多施設共同臨床研究の監督責任を数名の主任研究者が負担することの限界を指摘し、「今後、J-ADNIの研究成果の活用及び大規模臨床研究のモニタリングのためには、国主導による外部委員会の設置が望まれる」と述べた。
 

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