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国循・猪原氏 ケサンラ漸増投与の新用法「アミロイドβはクリアランスでき、ARIA-Eを減らすことに成功」

公開日時 2025/09/19 04:50
国立循環器病研究センターの猪原匡史副院長・脳神経内科部長は9月18日、日本イーライリリー主催のケサンラの最新使用法に関するメディアセミナーで講演した。8月25日付で一変承認された早期アルツハイマー病治療薬・ケサンラの漸増投与(以下、新用法)の根拠となった臨床試験結果を解説し、「(新用法は)アミロイドβはきちんとクリアランスでき、かつ(同剤の副作用として知られる)ARIA-Eを減らすことに成功した」と報告した。新用法はARIA-Eの発現リスクを低下させるが、「ARIAは、アルツハイマー病の病態と関連し、抗アミロイドβ抗体薬治療における重要な安全性マーカー」だとも指摘。定期的にMRI検査を実施して、「(ARIAを)積極的に検出し、適切に対処することが重要」と述べた。

同剤の用法・用量は、一変承認に伴い、8月25日に「初回は350mg、2回目は700mg、3回目は1050mg、その後は1回1400mgを4週間隔で、少なくとも30分かけて点滴静注する」と変更された。
初回の投与分から3回目の投与分に1バイアルを移し、漸増させる。24週目までの合計投与量、およびそれ以降に投与されるケサンラの量は変わらない。

◎ARIA-E発現割合 350mg開始群13.7%、700mg開始群23.7% 相対リスク40.5%低下

申請の根拠となった第3相臨床試験(AACQ試験:TRAILBLAZER-ALZ6試験)は、PET検査により脳内アミロイドβプラーク沈着が認められた早期アルツハイマー病患者を対象に、複数の用法用量について、従来の700mg開始群と比べ、ARIA-Eの発現割合や脳内アミロイドβプラークの沈着量の変化について検討した。

主要評価項目の24週時におけるARIA-E関連事象の発現割合は、350mg開始群は13.7%(29/212例)、700mg開始群は23.7%(49/207例)だった。24週時のARIA-E関連事象の発現に対する事後相対リスクは40.5%減少。事後相対リスクが少なくとも20%減少する事後確率は94.1%となり、事前に規定した成功基準(80%超)を満たした。

◎脳内アミロイドβプラーク沈着の変化量 350mg開始群-70.92、700mg開始群-72.14 「ほぼ同様」 

副次評価項目の脳内アミロイドβプラーク沈着のベースラインから76週時までの変化量は、350mg開始群は-70.92センチロイド、700mg開始群は-72.14センチロイドだった。猪原氏は、アミロイドβプラーク量は認知機能やADLなどにおけるケサンラの有効性と相関しているとした上で、「(350mg開始群で)ARIA-Eが減っても、アミロイドβプラークがうまく取り切れなかったでは良くないなか、(350mg開始群は700mg開始群と)ほぼ同様のアミロイドβプラークの減少量を示した」と解説した。新用法はARIA-Eの発現リスクを低下させる一方、有効性は従来の用法とほぼ同様だったことから、リスク・ベネフィットのバランスが優れていることを示した。

なお、350mg開始群で新たな安全性上の懸念は認められなかったとしている。

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