BeiGene 登記上の本社をスイスバーゼルに 社名は「BeOne」に変更 株主総会を経て正式決定
公開日時 2025/04/23 04:50

がん領域の新薬をグローバルに手掛けるBeiGeneは、スイスバーゼル、米国ボストン、中国北京の3本社制について、今年中に登記上の本社はスイスバーゼルとし、社名も「BeiGene」から「BeOne」に変更する予定だ。現在の登記上の本社はケイマン諸島になっている。まもなく開催される株主総会での承認を経て正式決定する。BeiGene Japan合同会社の安達進社長が4月22日のメディアセミナーで明らかにした。
安達社長は、「BeiGeneはヘッドクオーターを持たない企業で、ヘッドクオーターレスが会社の一つの理念になってる」と述べ、5大陸40拠点の1万1000人以上の社員が世界中のより多くのがん患者に医薬品を届けるためのプロフェッショナルチームとして仕事に従事していると紹介した。これまでの3本社制はエリアを管轄する意味合いだと言い、登記上の本社を今後スイスバーゼルに置いても、ヘッドクオーターレスの理念に変更はないと強調した。
BeiGeneはこれまで中国発バイオ企業と言われていた。しかし、実際は2010年に米国人のJohn V. Oyler 氏(現会長兼CEO)と、中国系米国人のXiaodong Wang博士(現科学諮問委員会委員長)の2人の共同創設者により、がん領域特化型企業として設立された。最初の研究開発拠点を北京に置いたことから中国系企業と言われていたとみられる。
◎臨床開発のCROフリー 日本でも内製化「できる限り90%を目指す」
安達社長は、BeiGeneのビジョンは「Cancer has no borders. Neither do we.(がんに国境はない。だからこそ私たちの挑戦に限界はない)」だとした。その上で、がんの新薬が実際に使用できる人は全世界の約20%にとどまることからBeiGeneは創業以来、「より多くの人にがんの新薬を届けること」に挑戦しているとし、このために「コストを抑えつつ、開発や供給のスピードを高めた独自のモデルを構築した」と紹介した。
コスト削減策のひとつとして「CROフリー」に取り組んでおり、約3700人のグローバル開発チームによって可能な限り自社で臨床試験を行っている。この結果、業界平均と比べて臨床開発コストは最大30%削減でき、開発スピードも早くなったという。安達社長は、これまでのグローバルファーマでの経験も踏まえ、「臨床試験が常に一定数ある場合は、CROを使うよりも、自社で社員を雇った方がコストは明らかに下がる」と指摘した。また、日本の臨床開発もCROフリーの内製化で進める方針で、「日本もできる限り(内製化)90%を目指す」と語った。このほかBeiGeneは生産も自社工場で行っており、臨床開発と同様、コストとスピードの競争優位性につながっているとした。
◎社員倍増200人体制へ MR増員
BeiGene Japanは2020年に登記された。安達社長は、「BeiGene Japan はグローバルと比べて立ち上げが遅れたが、最近は『APAC』が『JPAC』と呼ばれており、これはグローバルがいかに日本を重視しているのかを示したものだ」と述べ、BeiGeneグループの中で日本の重要度が増していると強調した。現在の従業員数100人強は25年中に200人規模に増強する計画で、MRや開発要員など様々なポジションの採用を進める考えを示した。また、世界に遅れることなく日本でも臨床開発していく方針で、「グローバルの第2相試験段階からできるだけ日本も入っていく戦略になっている」と述べた
(詳細記事はこちら)。
【おことわり】見出しの表記について、BeiGeneからの申し出により変更しました。(4月23日15時00分)