厚労省・内山審議官 セルメ税制「25年夏の税制改正要望取りまとめ」に向け検討 現行適用期限は26年末
公開日時 2024/11/07 04:51
厚生労働省の内山博之大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官は11月6日、都内で開催したセルフメディケーションシンポジウム「医療におけるOTC医薬品の価値」で講演し、セルフメディケーション税制(セルメ税制)の適用期限が2026年12月末に迫っていることを踏まえ、「25年夏までにセルメ税制の仕組みを含めて税制改正要望を取りまとめる必要がある」と強調した。その上で内山審議官は、「現状のセルメ税制はちょっと使いにくい」と提起。電子版おくすり手帳の活用を例示しながら、処方薬以外に患者自身でOTC情報を登録し、購入時の価格情報を記録できるなど、セルフメディケーションが進む機能改修や機能開発に期待感を示した。
内山審議官は薬剤費の推計をめぐる政策的課題に絡めながら、「革新的な医薬品が創出される一方で、(薬剤費の)適正化・効率化が指摘されている」と強調。政策的には長期収載品から後発品への移行によって薬剤費の低減を図るとしながら、「その先は後発品になったものをOTC等にするというサイクルを回すのが政策課題になっている」と述べ、「やはりセルフケアとか、セルフメディケーションの推進を一つの選択肢として進めていくべきだと考えている」と強調した。
現在のセルメ税制は、一定のスイッチOTC医薬品を購入した場合、合計額が1万2000円を超えると所得控除が受けられるというもの。22年度分からの制度変更として非スイッチOTCの外用鎮痛・消炎剤や解熱鎮痛剤など医療費適正化が期待される薬効にも対象を拡大した。
◎「基本的に5年ごとの期限でセルメ税制の適用期限を延ばしている」
内山審議官は、「基本的に5年ごとの期限でセルメ税制の適用期限を延ばしており、2026年12月31日までとなっている。我々としては26年度税制改正要望に向けた議論を進めていかなければならない」と強調。26年度税制改正要望に向けたスケジュールとして、「25年夏には財務省に要望しなくてはならない」と述べ、現行制度の仕組みの改善を含めて検討に着手する考えを示した。
◎「電子版お薬手帳や民間薬局アプリの対応で、より(セルメ税制が)使われるようになる」
一方でセルメ税制の課題について、「個人的にもちょっと使いにくい。やはり(OTC購入時の)レシートをためて計算して提出するという作業がやや面倒くさい」と指摘。一方で医療費控除の仕組みは、「マイナンバーカードとe-Taxを使うと、自分の医療費について領収書がなくてもたちどころに計算される」と述べ、セルメ税制についても、「電子版お薬手帳や民間薬局アプリなどの対応で、より(セルメ税制が)使われるようになる」と述べ、関係者の協力に期待感を込めた。特に電子版お薬手帳については、「JANコード読み取りで簡単にOTCも登録できるようになる」と強調。加えて、OTC購入時の価格情報の登録も、機能改修や開発などに、「少し努力して頂くというのが、これから求められるのではないか」と述べた。