キエジ・ファーマ・ジャパンが本格始動 第1弾はメトレレプチンの情報提供活動 希少疾患薬開発に意欲
公開日時 2024/07/12 04:51
イタリアのキエジグループの日本法人キエジ・ファーマ・ジャパンの中村良和代表取締役社長は7月11日、東京都内で記者会見し、日本でのビジネスを本格始動すると発表した。第1弾は塩野義製薬から今月24日に製造販売承認を承継するメトレレプチン皮下注用11.25mgの販売と情報提供活動。これを皮切りに、同社が得意とする希少疾患治療薬の国内開発や自販体制などに取り組む考えを表明した。日本法人の人員体制は、「現状は9人の少数精鋭」と説明しながらも、今後の見通しについて、「どれくらい増やすかは製品により異なるが、今後の製品上市のタイミングに合わせて適宜(従業員を)補充していきたい」と述べた。
キエジグループは1935年に設立されたイタリア・パルマに本社を置く国際的な研究開発型バイオ医薬品企業。従業員数は約7000人、31か国で事業を展開しており、2023年の売上高は約30億ユーロに上る。イタリア、フランス、米国、カナダ、中国、英国、スウェーデンに研究開発拠点があり、23年の研究開発費は約7億2000ユーロで売上の24%を占める。戦略的な疾患領域として呼吸器疾患、希少疾患、専門医療を掲げる。2019年に設立した希少疾患部門では、先天性代謝異常や内分泌代謝疾患などの領域で10製品を欧米で展開している。日本では希少疾患領域の事業展開を進めていくとしており、第1弾としてメトレレプチンを取り扱う。
◎キエジグループのジャコモ・キエジ取締役 日本事業に対する戦略的投資も
この日の会見ではキエジグループのジャコモ・キエジ取締役希少疾患事業部門長が日本市場と今後の事業への期待を語った。同氏は、「グローバルに展開している希少疾患製品を日本でも次々に展開し、スピード感をもって患者さんに届けていきたい。さらに欧米だけでなく日本も含めた開発戦略を進めていく」と強調。「日本の医療アクセスは堅牢で、国民皆保険により満足度も高い。こうした状況が日本人の長寿命につながっている。日本での事業展開を行うことでこうした恩恵を希少疾患の患者さんにも提供していきたい」と訴えた。その上で「今までは欧州向け、米国向けの開発戦略だったが、日本も今後の開発戦略に加えていきたい。日本のアカデミアや大学との協力も非常に重要だ」と述べ、日本事業への戦略的な投資を継続する考えを明らかにした。
◎中村社長 「既存のパイプラインからできるだけ早く展開したい」基本的には自販を
キエジ・ファーマ・ジャパンの中村社長は今後の開発戦略について「既存のパイプラインからできるだけ早く展開していきたい。基本的には自販を考えている」と説明した。人員体制については、「私自身が希少疾患に30年以上携わって思うのは、“量より質だ”ということ。 そういう意味で我々のメンバーも少数精鋭。少なくとも社員全員が10年以上、希少疾患で経験を持っている」と述べ、同社の強みにあげた。ただ、今後、日本で開発する希少疾患薬があることを踏まえ、「今後の製品上市のタイミングに合わせて適宜補充していきたい」と述べた。
日本展開の第1弾となるメトレレプチンの効能・効果は「脂肪萎縮症」。日本における事業権利は契約期間の満了に伴い、開発元の米国アムリット社に返還される。23年4月に買収したキエジグループの日本法人が同剤の製造販売承認を承継することになった。