製薬4社「Pharma for PRIDE」が勉強会 性的指向や性自認のカミングアウトやアウティングを考える
公開日時 2024/06/19 04:52
製薬企業 4 社が参加する「Pharma for PRIDE」は6月11日、LGBTQ+合同勉強会を開催し、職場でのカミングアウトやアウティングをめぐる問題の適切な対応についてオンライン上で意見交換した。勉強会では、カミングアウトやアウティングの場面で想定される会話の事例が示されたあと、参加者が問題点を指摘したり、どうすれば当事者が嫌な思いをしないかを考えたりするケーススタディを実施。参加者は、興味本位な詮索が性的マイノリティの当事者を追いつめることがあることや、アウティングはパワハラ防止法のなかでパワハラ行為の1つと定められており、避ける必要があることなどを学んだ。
性的指向や性自認などのセクシャリティをめぐるカミングアウトについては、職場で「Bさん:土曜にAさんを見かけた。イケメンの男性と歩いていたね」、「Cさん:デートの約束があると言っていたよね」と話しかけられたAさんが、自身がゲイであることをカミングアウトした架空の場面を提示。参加者からは、「Cさんがデートの約束があるということを言わなければよかった」、「プライベートに切り込まなければよかった」などの問題点が指摘された。そのうえで「話してくれてありがとうと感謝を伝える」、「驚かずに普通のこととしてふるまう」などの対応が適切だという意見が出た。
また、性自認や性的指向を当事者の許可なく他の人に言いふらすアウティングについては、見た目は男性のように見える同僚の声が女性っぽいことを疑問に感じた社員が、部長に理由を尋ねたところ、部長が「ここだけの話」と前置きしたうえで、同僚が過去に性別適合手術を受けたことを話した事例について検討した。部長は、「仕事をする上では何の問題もないから気にしないで、普通の男性として接してほしい」、「素敵な仲間だと思うので一緒に頑張っていきましょう」などとも話していたが、参加者からは、「当事者の同意なくカミングアウトしてはいけない」「本人に聞いてみるように促すことが必要」などの意見が出た。そもそも「業務に関係ないので個人的なことは伝えてはいけない」という声もあった。
◎アウティングはパワハラ行為
これに対し「Pharma for PRIDE」では、興味本位な詮索が当事者を追いつめることがあることや、本人の同意を得ないアウティングは、当事者に計り知れない精神的苦痛を与える可能性が高く、絶対に避ける必要があることを指摘。カミングアウトについては、信頼してもらえたことに感謝を伝えたうえで、いつもと同じように接すること、アウティングについては、パワハラ防止法でハラスメント行為の1つと定められており、上長として詮索した社員を注意すべきだったなどと呼びかけた。
勉強会には、外部講師として自身もトランスジェンダーの堀川歩氏(株式会社アカルク代表取締役社長)も参加しており、「アウティングは無自覚・無意識でやってしまっていることが多く、問題になりやすい。普段のコミュニケーションでも自分の思いこみや価値観を人に押し付けていないか、相手を不快に感じさせないコミュニケーションについて考えてほしい」と呼びかけた。
「Pharma for PRIDE」は、サノフィ、アッヴィ、アストラゼネカ、アレクシオンファーマの4社からなるLGBTQ+アライネットワーク。誰もが安心して働ける職場環境や業界作りを目指しており、合同勉強会を開催するなどしている。今回の勉強会は5回目の開催。同団体では、「常に多様性に関する知識をアップデートして、製薬業界として、働きやすく成果が高められる環境を作っていきたい。また業界として世の中をリードできるようにしていけると嬉しい」とコメントしている。