日本製薬医学会 MA総数は3155人、MSLは1125人 コア事業にUMNs把握 医療経済や患者活動に違いも
公開日時 2023/07/31 04:53
日本製薬医学会(JAPhMed)・メディカルアフェアーズ(MA)部会は7月29日、東京都内で開催した第14回年次大会で「2023メディカルアフェアーズサーベイ」の一部結果を報告した。サーベイに協力した41社のMA総数(22年末時点)は3155人、MSL総数は1125人だった。医療資格保持者は、薬剤師が814人でトップ、次いで医師が82人。MAの業務範囲については、アンメッドメディカルニーズ(UMNs)の把握、メディカルプランの作成、エビデンスの創出、医学・科学的情報の発信・提供―の各項目について回答企業の殆どがコア事業に掲げていた。一方で、「医療経済(HEOR)戦略作成」や「患者関連活動を通じた患者ニーズの把握」については、「行っていない」と回答する企業が全体の3割程度を占めた。
サーベイはMA部門の活動の現状・動向を理解し、残された今後の課題を把握することを目的に実施したもの。調査期間は2023年3月27日~6月16日。Webアンケートシステムを使って回答を求めた。回答企業は42社、内資系が28社、外資系が14社だった。製薬協が2019年に策定した「メディカルアフェアーズ活動に関する基本的考え方」の公表以降、大規模なサーベイを行うのは今回が初めてとなる。
2022年末時点でのMA担当者の総数は3155人で平均値は77人だった。内訳は内資系59.7人、外資系110.1人。MSLの総数は1125人で平均値は24.7人。内訳は内資系45.1人、外資系33.1人だった。MAの資格所有者をみると、医師82人、薬剤師814人、獣医師27人、看護師31人、臨床検査技師23人。
◎MAのコア事業 社外医科学専門家との医学・科学的交流によるインサイトの収集など
MAの業務範囲のうち、アンメッドメディカルニーズの把握(回答企業42社)についてみると、「社外医科学専門家との医学・科学的交流によるインサイトの収集」と回答した企業は41社、「アドバイザリーボード会議の企画・実施」は39社、「論文・学会情報の収集」は39社、「クリニカルクエスチョン・リサーチクエスチョンの特定」は41社で、それぞれ”コア事業”に掲げていた。一方で、「患者団体等を通じた患者ニーズの把握」をコア事業に掲げる企業は19社で、「行っていない、もしくはMAとして関与していない」との回答企業が13社(内資系11社、外資系2社)あった。
メディカルプランの作成に関する業務範囲(回答企業42社)について、「アンメッドメディカルニーズやエビデンスギャップの把握」と回答した企業は41社、「パブリケーションプラン作成」が38社だった。一方で「ペイシェント・ジャーニーの作成」をコア事業に掲げる企業は22社、「医療経済(HEOR=Health Economic and Outcomes Research)戦略策定」は14社となった。なお、医療経済(HEOR)戦略策定を「行っていない、もしくはMAとして関与していない」との回答企業は12社(内資系10社、外資系2社)あった。
◎メディカル・エデュケーション実施のKPI 「顧客満足度」や「参加人数」が上位に
学会共催・企業主催のセミナーとして実施する「メディカル・エデュケーション」について医療従事者が評価する場合の評価手法(KPI)についても回答を求めた。最も回答社数の多かった項目が「顧客満足度」で34社(内資系21社、外資系13社)、次いで「参加人数」の27社(内資系14社、外資系13社)、「得られたインサイト数」が21社(内資系14社、外資系7社)と続いた。
◎MA社員に求めるスキル 疾患知識、製品知識、臨床試験のデザイン
MA社員に求められるスキルは、疾患知識、製品知識、臨床試験のデザインが上位にランクされた。一方で、「育成が必要なスキル」(まだ十分でないと考えられるスキル)については、「部門を超えたプロジェクトマネジメント能力」や「生物・臨床時計」、「語学(英語)会話スキル」が含まれており、「重要なスキルと求められるスキルが異なっていた」と分析した。