富士通 製薬オウンドメディアを電子カルテ上で閲覧可能に 処方動向の分析できめ細かい処方提案が可能
公開日時 2022/10/20 04:52
富士通は10月19日、電子カルテを利用した新たな薬剤情報基盤「薬剤情報提供サービスVer.2」のサービス提供を開始したと発表した。製薬企業のオウンドメディア(自社サイト)にあるデジタルコンテンツを電子カルテ上で閲覧可能とし、医師など医療従事者は診療中でも最新の薬剤情報にアクセスできる。コンテンツ閲覧後の処方動向を解析するサービスも導入する。詳細な処方実態を把握し医療機関にフィードバックすることで適正使用を推進するとともに、製薬企業にとってもきめ細かい処方提案が可能になる。さらに、今回のサービスは地域医療連携ネットワーク内にある連携先の診療所でも利用可能となる。
富士通は2021年12月から製薬会社から提供される医薬品情報を、富士通の電子カルテシステム上で閲覧できるツールの開発に取り組んでいた。初期段階(Ver.1)では、製薬企業がアップロードしたPDFコンテンツを電子カルテで閲覧できる仕組みを導入していたが、10月から新たに実装した「薬剤情報提供サービスVer.2」では、URLを登録するだけで、オウンドメディア(自社サイト)に掲載したPDF/HTML形式のコンテンツを電子カルテ上に表示することが可能となる。このため、製薬企業の最新コンテンツを大量に電子カルテ上に掲載することが可能となるほか、医師や看護師などの医療従事者も、電子カルテを使用する環境下で、最新の医薬品情報にアクセスすることができる。
◎新機能「処方ログ連携」コンテンツ閲覧後の処方動向を分析
一方で新機能として「処方ログ連携」を拡充した。処方・注射オーダーのログを解析し、コンテンツ閲覧後の処方動向を分析するといもの。Ver.1段階でも、医療従事者が製薬企業提供するコンテンツを閲覧したかどうかまで把握できた。Ver.2では、①多数のコンテンツを参照して処方に至った、②コンテンツを参照せず処方に至った、③コンテンツは閲覧したが、処方しなかった―などについて医療機関・製薬企業双方で確認することが可能となる。
想定される処方ログレポートとして、新規採用後や適応拡大後の経時的変化の確認、月次の処方動向の把握が可能となる。また、Web講演会など製薬企業主催のイベントや戦略を含めたpromotion活動の効果検証に役立てることもできる。さらに、適応症が広い薬剤について、複数の診療科に跨る薬剤の診療科別処方傾向を把握することも可能だ。製薬企業にとっては、製品別戦略の進行状況やMR活動の効果を把握・検証することで、「きめ細かい処方提案」ができる。
◎地域医療連携NWで連携する診療所でも利用可能に
もう一つの追加機能として、地域医療ネットワークへの対応として、中核医療機関と連携する診療所でも「薬剤情報提供サービスVer.2」の機能が利用できるようになる。患者の紹介・逆紹介などで連携する医療機関を対象とするものだ。富士通としては今年度中に2つの地域医療連携ネットワークへの導入を目指す方針だ。