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MSD・タトル社長 キイトルーダの成長を道連れ再算定で相殺 課題解決へ「厚労省と対話を継続」

公開日時 2022/04/22 04:52
MSDのカイル・タトル代表取締役社長は4月21日会見に臨み、2021年の国内業績について、「堅調な年だった」と振り返った。ただ、免疫チェックポイント阻害薬・キイトルーダが21年4月に市場拡大再算定の道連れルールが適用されたことが響き、成長が“相殺”されたと指摘した。タトル社長は改めて道連れルールを批判。「研究開発への投資を利益なしには続けていくことはできない」として、市場拡大再算定で道連れルールの本質的な解決に向けて、「私たちは対話を厚労省と続けていきたい」と改めて強調した。

◎21年国内業績「堅調な年だった」 新型コロナ薬・ラゲブリオが牽引も


同社の21年国内売上高は7.5%増の2890億円。ただ、成長の大半は新型コロナ薬・ラゲブリオによるもので、これを除くと、1.5%増にとどまった。売上数量では、キイトルーダが12%増となるなど、7%の伸びを示した。ただ、キイトルーダが21年8月にテセントリクの類似品として11.5%の引下げを受けたことが響き、薬価改定で5%のマイナスとなった。

◎キイトルーダ 適応拡大も2年間成長せず 道連れルールは「開発投資の阻害要因」


22年度薬価制度改革では製薬業界側の主張を踏まえ、市場拡大再算定の道連れルールについて、「4年間、1回に限り、市場拡大再算定の類似品としての引下げの対象から除外する」とルールが見直された。タトル社長は、「非常に喜ばしいことがあった」と歓迎した。そのうえで、「非常に率直に申し上げて、1回だけ除外されるだけではすべての課題が解消されるとは思っていない。もっと根本的な課題解決が必要だと思っている」と指摘した。具体的には、類似品の薬価が対象品目の薬価よりすでに低い場合や、適応症の重なりが非常に少ない場合、売上が増加していない場合なども対象となることで、「効能追加への開発投資の阻害要因となる」可能性を指摘した。

キイトルーダは適応拡大を続けており、21年に新たに6の適応症を取得するなど、日本での研究開発にも投資を行っている。しかし、2年間売上が伸びていないと説明。「日本にイノベーションをもたらすためには、日本に登録し、日本の患者さんでやって実現しないといけない。グローバルのプログラムを日本にもってくるためには、日本に投資しないといけない。投資についてのリターンを得ないといけない」と指摘した。

そのうえで、同社として厚労省と対話を続ける姿勢を示した。タトル社長は、「より多くの患者ががんと闘っていけるように、長く生きられるように戦いを続けている」と同社の姿勢を強調。「MSDにとって、日本は引き続き、優先度の高い市場であり続けている。薬剤、ワクチンを日本の皆さんに届けられるよう取り組みを続けていきたい」と訴えた。

「政府と我々は、同じ利害関係を持っている。製薬会社も投資をする、日本の国民の健康に寄与したい。政府としてもイノベーションが重要だと思っているし、イノベ―ションが持ち込まれるようにしたい」と述べ、改めてルールの見直しを訴えた。

◎白沢研究開発本部長 制度改革影響は「5、6年後に」 ミクロレベルの影響も

白沢博満代表取締役上級副社長兼グローバル研究開発本部長は、制度改革の影響は「5年、6年たってわかることがほとんどだ」と指摘。そのうえで、日本全体で「マクロで薬がないということはない。ただ、多くの会社では、ミクロレベルで難しい意思決定が始まっている」として、特定の疾患領域などへの開発の影響を示唆した。

◎“ハイブリッド・ワーキング・モデル”で柔軟な働き方を推進 5月から


このほか、同社は、オフィスとリモートを組み合わせた“ハイブリッド・ワーキング・モデル”を今年5月から開始することも発表した。リモートと、週3回の出社を組み合わせる、新たな働き方を推進する。

タトル社長は、コロナ禍で2年間社員がほぼ完全リモートで働き、生産性をあげてきたと説明。そのうえで、チーム、組織として成長することの重要性を強調。「この2年間で採用された人が対面でなく過ごした。私は、1年少し前に日本に来たが、感染状況が落ちつきつつあるなかで、MRや顧客とも会うようになった。ハイブリッドな形で、チームで集まることや、顧客にも会いたい。顧客に直接、何をMSDに求めているか聞きたい」と説明。「働き方に柔軟性をもたらしたい。長期的にはハイブリッドな考え方が重要だ」と述べた。また、「自分たちのスケジュールに基づき、担っている役割に応じてオフィスや自宅などで働く。これにより革新を続け、患者さんへの責任を担うことができると思っている」とも述べた。

MRと医療従事者とのデジタルを活用した情報提供にも力を入れるが、「完全に対面にとって代わるものではないと思っている」との見解も表明。自社サイトやWeb講演会、チャットボットなど、多様なツールを活用していると説明。「もちろん顧客に、対面で情報提供するMRやMSLがいることで、期待に応えることができる」として、様々なツールの活用で、エンゲージメントを高める考えを示した。


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