提供:WXMS Project Lab.
株式会社SUBARU/
慶應義塾大学理工学部 中西研
※「WXMS Project Lab.」と銘打ってスバルを中心にプロジェクトを推進中
モノ消費からコト消費へと言われているように、市場や消費者ニーズの変化に伴い、製品やサービスそのものよりもそこから得られる体験に価値を見いだす傾向が高まっている。日進月歩の技術革新により機能や性能の差別化が困難となるなか、ユーザーエクスペリエンス(UX)の追求は、企業活動に欠かせない要素である。WXMS
Project
Lab.は、製薬業界に対してワーカーエクスペリエンス(WX:働く中での体験価値)を高める仕組み・環境づくりへのアプローチをスタート。MRが搭乗する営業車を通してよりよい体験価値を提供し、仕事へのモチベーション、ひいては生産性の向上に貢献していく考えだ。ヒューマンファクターズ(人間工学)の観点から、自動車を通した“働くMRの体験価値”に迫る。
愛着や満足度、安全性など
MRにとって営業車は目的地に向かう移動手段というだけでなく、オフィスの役割を果たしたり、時には息抜きの場にもなるなど、まさに
“パートナー”と呼んでもいい存在だ。しかし、そのパートナー選びにおいて多くの場合、MRに選択権はなく、会社支給によるケースがほとんどである。WXMS
Project
Lab.は、環境課題への取り組みや導入コストを重視せざるを得ない車両選定から、実際に営業車に乗って働くMRがリース車両を選べる仕組みに変えていくこと。そして、1人ひとりの嗜好にあった営業車に搭乗することによって心理的満足度を高め、さらに仕事のクオリティの向上につなげてもらう狙いがある。
このプロジェクトを理論的に後押ししているのが、人間の心理面の特性を踏まえ、新たなユーザー体験をもたらすシステムやサービスを検証・提案している、慶應義塾大学理工学部教授の中西美和氏の研究だ。数年前からワーカーエクスペリエンス(WX)、すなわち働く中での体験価値について定量的な評価・分析を行っている。
「近年、仕事に対する価値観が変化し、働く中での喜びややりがい、満足感などの意味・意義が重視されつつあります。また、そのような心理的な側面が仕事の成果に与える影響も明らかになってきており、働く人のパフォーマンスを高めるという観点でも、無視できない重要な要素と言えます」と中西氏は提言する。
MRのワーカーエクスペリエンス(WX)を高める1つのアイテムとして、“パートナー”である車(営業車)を捉えると、車(営業車)は人(MR)にどのようなサポートを提供しうるだろうか。中西氏は、WXMS
Project
Lab.による約400人のMRを対象にしたアンケートを分析。MRが使用している営業車を9つの質問項目に対するスコアリングによって評価したデータを因子分析し、車に対する主観的価値、運転の快適さ、車内での仕事のしやすさの3因子を見出した上で、因子間の関係を探る共分散構造分析を試みた結果、車に対する愛着や満足などの主観的価値が運転の快適さにつながり、そして運転の快適さが集中やリラックスを含む仕事のしやすさに貢献するという因果関係を見いだすことができたという。
「つまり、“パートナー”である車への満足や愛着など主観的価値を高めていくことが、MRにとって仕事のしやすい環境を作るうえで大きなポイントになってきます」と中西氏は指摘する。別の見方をすれば、自動車そのものは成熟した製品であり、各メーカーがこれまで追求してきた運転の快適性や安全性を訴求するだけではワーカーエクスペリエンスの向上には不十分だということだ。
では営業車への主観的価値はどのように高めていけばいいのか。その1つの答えが車両の自主選択である。アンケートによると、自主選択により営業車を選んでいる割合は全体の12%にとどまるものの、会社支給の場合と比較すると自主選択派の主観的評価のほうが圧倒的に高かった。「人間のモチベーションの源泉の一つは、自分に裁量権があること。営業車を自主選択できることが車への愛着や満足、自分らしさという主観的価値を高めるのは明らかです」(中西氏)
さらにメーカーごとの主観的価値、運転の快適さ、仕事のしやすさに対する評価をみると、主観的評価が高いほど他の2つの評価も連動して引き上げられるという分析結果を裏付けた。
また、営業職を対象に何がワーカーエクスペリエンスを高めるかを尋ねた別の調査によると、多くの営業職が「感謝される」「認めてもらえる、採用される、信頼される」「やりがいを感じる」という体験価値に遭遇する機会が多いことが明らかになった。「MRのデータを抽出してみても同様の傾向です。例えば、医師から患者さんが良くなったということを聞いて自分が貢献できたと感じたり、医師の期待に応えられたなどの回答がありました。一方で営業職全般にいえることですが、人の技術や物の美しさ、特別感に感動したり、安心やリラックスすることに対しては体験価値を感じる機会が現状では少ないという結果でした。つまり、この領域は未開拓領域であり、MRの総合的なワーカーエクスペリエンスを高めることを考えたとき、まだまだ強化していく余地が残されているといえます」と中西氏は分析する。
自動車の役割を広げる
職場環境・仕組みづくりへ
営業車に対するMRの主観的価値を高め、また仕事へのモチベーション向上にダイレクトに働く「自主選択」の推進は、WXMS Project Lab.が目指す「車に乗る人の満足度向上」、および今後の環境変化に照らしても合致する。
現状において、リース車両に関しては企業の総務部門が大きな決定権を持ち、導入コストや燃費の観点から、ハイブリッド車が導入されるケースが通常。「製薬各社様に限らず、企業としてコストやCO2排出量などが優先されれることは当然です。一方で、MRの皆様にとって車は職場環境そのものであり、あらためて
「職場環境としての業務用車」の在り方を考えてみたときに、業務車両においても人間工学/ヒューマンファクターズを取り入れる事で、製薬各社様が抱える課題をほんの少しでも解決できる糸口になるのではないか、と推測したのです。そこで人間工学/ヒューマンファクターズの分野で第一人者である、慶應義塾大学理工学部の
中西 美和 教授 に指導、監修に参画いただき、「働く人の体験価値 / Worker eXperience
を高める」をテーマに、MRの皆様が気持ちよく働くためのお手伝いがしたい、という考えにたどり着きました。働きやすい環境をつくっていくサービスとして営業車を選択する、そういう構造は未開拓領域であることに着目しました。」と株式会社SUBARU法人営業部法人営業課の小林直純課長は話す。
加えて、生産年齢人口の減少とともに、営業体制の見直しによりMR数は6万人を切ってきている。働く人の年齢構成も高齢化していくなかで、将来的には一定の法人用車両を画一的に売っていく時代ではなくなるという読みもある。MRの生産性向上が問われているなかで、働きやすい環境をつくる1つの手段として営業車の自主選択を進め、結果的に主観的価値の高い車を柔軟に選択できる新しいサービスを検討していきたい。と小林氏は展望する。
先述の中西氏によると、営業車が話題のきっかけとなって車好きの医師とのコミュニケーションが容易になったり、車がリモート時代におけるパーソナル空間にもなりうるなど、自動車がMRのワーカーエクスペリエンス向上のために貢献できることのスコープはますます大きく広がっていくという。WXMS
Project Lab.が空けた風穴により働く現場における車の価値再考に弾みがつきそうだ。
WXMS Project/ワーカーエクスペリエンス向上に関する問い合わせ
SUBARUフリートデスク
0120(896)888 フリーダイヤル
株式会社SUBARU
東京都渋谷区恵比寿1-20-8 エビススバルビル
https://www.subaru.co.jp/