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シオノギファーマ 金ヶ崎工場敷地内で貯蔵タンクからジクロロメタン漏出 近隣の住民に飲用水配付

公開日時 2021/01/12 04:52
シオノギファーマは1月10日、同社の金ケ崎工場敷地内(岩手県胆沢郡金ケ崎町)においてジクロロメタン(塩化メチレン)が屋外貯蔵タンクから敷地内に漏出したと発表した。同社によると、5日午後にジクロロメタンの貯蔵タンク(容量:20kL)から約15kLが漏出していることを確認。翌6日に岩手県に報告したが、8日に工場内の漏出現場付近から高濃度のジクロロメタンが検出されたため、岩手県に再度報告した。なお、9日までに工場周囲半径1.2kmの住民および企業に地下水使用の有無を確認し、念のため飲料に用いないよう飲用水を提供した。

金ヶ崎工場は、セフェム系・カルバペネム系抗生剤とがん疼痛治療薬に特化した一貫製造拠点に位置づけられる。同社ホームページによると、抗生剤原薬を100トン/年規模、製剤ではバイアル剤1700万本/年、錠剤4.2億錠/年の規模で製造可能。顆粒剤、カプセル剤の製造設備もある。がん疼痛治療薬においては、原薬、錠剤、散剤、アンプル剤と多種多様な製造設備を有している。

◎タンク上部に大量の積雪 落氷で排出弁が開いた可能性高い

同社によると、ジクロロメタンの漏出の原因について、「漏出発見時にタンクの排出弁が半分程度開いており、これが漏出原因」と説明。タンク上部に大量の積雪があったことから、タンク上部からの落氷により排出弁が開いた可能性が高いとしている。初期対応として、事象発見後、直ちに工場から河川につながる水門を閉じ、タンク周辺に残留していたジクロロメタンを回収した。

翌6日には岩手県環境生活部(県南広域振興局)に報告。岩手県や金ケ崎町と協議のうえで雨水検水槽のジクロロメタン濃度を確認したところ、全ての確認箇所でジクロロメタン濃度は基準値以下(排水基準値:0.2mg/L)だった。7日は国と岩手県により近隣河川7カ所を調査したところ、全ての確認箇所で基準値以下だったことも確認した。ただ、8日になって工場内の漏出現場付近より、高濃度のジクロロメタンが検出されたため、再度岩手県に報告した。

ジクロロメタンは、発がん性の恐れや眼に刺激性があり、労働安全衛生法では特定化学物質に指定されている。同社は工場周囲半径1.2kmの住民および企業に地下水使用の有無を確認し、「念のため飲料には用いないようお願いするとともに飲用水を提供いたしました」としている。なお、9日時点で採水した15カ所の井戸水を調査したところ、すべての井戸で検出されていない。周辺井戸水については調査を継続するとしている。

◎構造上の対策を早急に検討 敷地内外のモニタリングは継続

今後の対応については、漏出が発生したタンクについて、漏出が発生しないよう緊急対策を行った。恒久的な対策として同様の落氷が発生しても排出弁が開かないように構造上の対策を早急に検討するとしている。さらに岩手県や金ケ崎町と協力して、敷地内および敷地外のモニタリングを継続して実施し、拡散防止につとめるとしている。



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