政府 全世代型社会保障改革方針を決定 年収200万円以上の後期高齢者2割負担 改正案提出へ
公開日時 2020/12/15 04:51
政府の全世代型社会保障検討会議(議長・菅義偉首相)は12月14日、「全世代型社会保障改革の方針」を決定した。焦点となった後期高齢者の窓口負担2割の所得基準は「年収 200万円以上」と明記した。一方、医療提供体制の改革では、外来機能の明確化とかかりつけ医の機能強化を目的に、「医療機関が都道府県に外来機能を報告する制度を創設する」ことを盛り込んだ。地域の実情に応じて、紹介患者への外来を基本とする医療機関を明確化する。これに連動し、大病院への患者集中を防ぐため一般病床200床以上の病院への外来受診時の定額負担拡大にも取り組む。政府は2021年の通常国会に必要な改正法案を提出する。
◎菅首相「急激な負担増にならないための経過措置を設ける」
菅首相はこの日の検討会議で、「2022年には団塊の世代が75歳以上の高齢者となり始める中で、若者と高齢者で支え合い、若い世代の負担上昇を抑えることは、待ったなしの課題だ」と強調。「75歳以上高齢者のうち、新たに窓口負担割合を2割とする範囲を、単身者の場合、年収200万円以上とするとともに、急激な負担増にならないための経過措置を設ける」と述べた。
◎改正法案は次期通常国会に提出 施行時期は2022年度後半
後期高齢者の負担割合について「改革方針」では、後期高齢者(現役並み所得者は除く)であっても課税所得が28万円以上(所得上位30%)および年収200万円以上(複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上)に限って窓口負担割合を2割とし、それ以外は1割とすることを明記した。
政府は、この改革方針に基づく改正法案を2021年の通常国会に提出する。改革の施行時期は2022年度後半とし、準備期間を考慮した。また、施行に当たっては、長期頻回受診患者等への配慮措置として、「2割負担への変更により影響が大きい外来患者について、施行後3年間、1月分の負担増を最大でも3000円に収まるような措置」を導入することも盛り込んだ。
◎大病院への患者集中を防ぐ かかりつけ医機能を強化 病院の外来は紹介患者が基本
このほか大病院への患者集中を防ぎ、かかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡 大ついても明示した。現在は特定機能病院および一般病床200床以上の地域医療支援病院に紹介状なしで外来受診した場合、定額負担(初診5000円)を求めている。これに対し今回の改革方針では、地域の実情に応じて明確化される「紹介患者への外来を基本とする医療機関」のうち一般病床200床以上の病院に対象範囲を拡大することを決めた。なお、この制度の導入に伴い、医療機関が都道府県に外来機能を報告する制度を創設し、紹介患者への外来を基本とする医療機関を明確化する取り組みも推進する。あくまで、かかりつけ医機能の強化とともに、外来機能の明確化・連携を図ることが目的だ。このほかオンライン診療の推進にも力を入れる。