サンファーマ・中道社長 皮膚科のスペシャリティファーマへ本格始動 3年で業界3位以内に
公開日時 2020/09/25 04:51
サンファーマ日本法人の中道淳一社長はこのほど、本誌取材に応じ、皮膚科領域のスペシャリティファーマとして新薬、長期収載品、ジェネリックを扱い、3年で業界3位以内のポジションを目指すと表明した。9月23日に同社初の生物製剤となる尋常性乾癬治療薬・イルミア皮下注(一般名:チルドラキズマブ(遺伝子組換え))を発売。「新生サンファーマを象徴する出来事」と述べ、イルミアなど新薬群を中心とした情報提供・収集・伝達活動を強化して企業ブランドを高める意向を示した。また、2021年の早期に、がん領域に参入し、営業体制の拡充を検討する構えもみせた。
■MRは150人体制 約40人のイルミア専任MR配置
サンファーマと言えば、「ジェネリックで世界4位」「インド最大手の製薬企業」として知られるが、2010年以降、注力領域で新薬やジェネリックなどを手掛ける領域特化型スペシャリティファーマを目指す方針に舵を切り、進化の途上にある。各国で医療費の抑制が大きな政策課題となり、ローコストオペレーションを徹底したとしてもジェネリックだけでは収益が先細りし、早晩行き詰まるとの判断が背景にある。
グローバルの経営方針は皮膚科、がん、眼科の各領域にフォーカスすること。日本ではまず皮膚科領域で市場から評価される企業を目指す。第2の柱としてがん領域、第3の柱として眼科領域と設定し、段階を踏むことにした。これまでにノバルティスから抗真菌薬ラミシールなどの長期収載品を承継。20年1月1日付けでサンファーマを存続会社として皮膚科に特化した製薬企業ポーラファルマを吸収合併し、「新生サンファーマ」として始動した。
販売中の新薬は尋常性ざ瘡治療配合薬デュアック、抗真菌薬ルリコン、佐藤製薬と共同販売している爪白癬治療薬ルコナック――があり、ここに尋常性乾癬に用いるヒト化抗ヒトIL23p19モノクローナル抗体製剤・イルミアが加わった。MRは150人体制、うち40人程度はイルミア専任MRとした。
■「my MR君」きっかけにリモート面談
中道社長は、新生サンファーマの経営目標について、「3年以内に皮膚科学領域の医療関係者や患者さんから『サンファーマは皮膚科にフォーカスした企業だね』と認知、評価されるようになりたい」とし、「企業規模、製品や情報のクオリティ、企業ブランドで業界3位以内のトップリーグの一員になれるよう全社を挙げて取り組む」と話した。
企業の認知を高める方策のひとつに、イルミアなど新薬群の情報活動の強化を挙げた。とはいえ、イルミアは学会に承認された全国600強の指定施設でなければ使用できず、多くは病院市場での活動となる。コロナ禍で厳しい訪問規制を継続している病院が多いなか、必ずしも企業ブランドが浸透していない状況下でのアポイント取りや情報活動が求められる。
中道社長はまず、「イルミアは尋常性乾癬患者さんのお役に立つ治療選択肢の一つ」と強調し、1年半ほどで指定施設の多くで採用されるよう取り組む意向を示した。そして、情報提供・収集・伝達活動全般に関して、「当社としては医師や医療機関の意向やルールを確認した上で、顧客の意向に最大限に応えていくことを基本方針として取り組んでいる」と述べ、アポイントを取得した上での対面訪問のほかに、リモート面談やメールディテールにも対応できるよう、デジタル環境を整備したと説明した。
具体的には、全MRにWeb会議システムの「GoToMeeting」を導入。さらに、エムスリー提供のリモートディテーリングサービス「my MR君」の導入時期を前倒しして6月に実装し、MRが面識のない医師や、MRが医師のメールアドレスを取得していないケースでも、デジタル環境で医師と接点を持てるようにした。
「コロナ前までは対面訪問を基本とした活動をしていたため、実は会社もMRも、医師のメールアドレスを取得する必要性を感じていなかった」(中道社長)ということも、「my MR君」の導入前倒しの理由だ。「my MR君」を起点にMRは医師との1対1のコミュニケーションを実現し、場合によっては医師にURLを送付して、「GoToMeeting」でのリモート面談につなげるなどしている。
■がん領域に剤形工夫施した製品投入 注射調剤業務の効率化に貢献
第2の柱としたがん領域、第3の柱とした眼科領域への参入時期も気になるところ。中道社長は、「21年の早い時期にがん領域製品を投入する予定」、「眼科領域への参入は時間がかかる」と明かしてくれた。21年からはがん領域のスペシャリティファーマも目指すことになる。がん領域の営業体制に関しては、「取扱製品群や市場環境によってプロモーション体制を拡充することを考えていく」と述べた。
がん領域の製品ポートフォリオについては、「多くはジェネリックとなるが、なかには用法・用量が異なるためカテゴリーとしては新薬扱いになる製品もある」という。サンファーマグループのグローバルの製剤技術を最大限に活かして溶解不要の液剤やプレフィルドシリンジ、バッグ製剤などの剤形工夫を施した製品を投入するとし、がん領域における薬剤師の注射調剤業務の効率化などに貢献する考えを示した。
インタビューの一問一答記事は、ミクス10月号(10月1日発売予定)及びミクスOnline(9月30日公開予定)に掲載します。