大日本住友・小田切本部長 「リモート専任MR」のみでラツーダの病院採用を実現 iMRで聖域にメス
公開日時 2020/08/07 04:52
大日本住友製薬の小田切斉・営業本部長兼Head of Japan Business Unitは8月6日、本誌との電話取材に応じ、非定型抗精神病薬・ラツーダについて、「リモート専任MR」の活動のみで医療機関の新規採用まで至った事例の存在を明らかにした。同社はラツーダの6月発売にあわせて、オンライン会議システムを用いた「iMR」(リモート専任MR)を社内に発足させ、医師との予約面談を開始した。折しも新型コロナの緊急事態宣言が解除され、MRの外勤活動が徐々に再開した時期でもある。小田切営業本部長は、ポストコロナ時代の情報提供活動について、「医師の多様なニーズに柔軟に対応できる多くの手段を持つことが大事だ」と強調する。その上で、「これまでクロージングはMR(の特権)だと話していたが、いまはそうではない」と言い切った。
これまで新薬の医療機関への採用工作や処方獲得を目的とするクロージングはMR活動にとっての「聖域」と位置づけられた。この聖域にデジタルツールで風穴を開ける挑戦が始まった。その筆頭に6月に発足した「iMR」(リモート専任MR)が存在する。医師からの事前面談予約を受け、本社のiMRがオンライン会議システム・Zoomを用いて双方向で情報提供・収集活動を行う。新型コロナの感染拡大でMRとの面談が叶わない医療機関や医師にとって、同社のラツーダのような新薬に対する専門医の情報ニーズは高い。実際にiMRを導入してからのリピート率も8割という高率をキープできている。
■「iMRならではの顧客は存在する」
小田切営業本部長は、「医師のタイプによってはリモートのみで採用に至ることもある」と明かしてくれた。新型コロナウイルスの感染リスクを回避したい医療従事者にとって、「担当MRとの対面訪問や面識がなくても、しっかり情報収集さえできれば良いと考える先生がいるかもしれない」と指摘する。ポストコロナのニューノーマルな時代が叫ばれるなかで、「iMRならではの顧客は存在する」と小田切営業本部長は胸を張った。
iMRによる活動は、今年10月に長期処方が解禁される統合失調症薬・ロナセンテープに広げる計画だ。糖尿病領域への拡大も視野に入れている。MRとiMRが連携してニューノーマルな時代の情報提供体制を強化して医療関係者の満足度を高め、CNSなどの注力領域で最初に相談される信頼される企業を目指す。
【おことわり】大日本住友製薬からの申し出により、下線部を修正しました。(8月7日11時)