毎日をただ「何となく」過ごしている人の悲劇
公開日時 2020/07/21 05:00
情熱的読書人間榎戸誠【悲劇】『自分の時間――1日24時間でどう生きるか』(アーノルド・ベネット著、渡部昇一訳・解説、三笠書房)は、毎日をただ「何となく」過ごしている人の悲劇を生々しく描き出している。と言っても、小説ではなく、どうしたらその泥濘(ぬかるみ)から脱出できるかが具体的に示されている。【貴重な財産】●朝、目覚める。すると、不思議なことに、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっているのだ。そして、それがすべてあなたのものなのだ。これこそ最も貴重な財産である。●誰も時間をあなたから取り上げることはできないし、盗むこともできない。時間に関しては富による特権階級も、知的能力による特権階級も存在しない。時間というこのうえもない貴重品を、思うさま浪費しようが、そのために時間の供給が...