大日本住友と日本ジェネリック 血糖降下薬メトホルミンを自主回収 NDMA検出でクラス1
公開日時 2020/04/28 04:52
大日本住友製薬は4月27日、経口血糖降下薬メトグルコ錠250mg、同錠500mg(一般名:メトホルミン塩酸塩)の自主回収(クラスI)を始めたと発表した。管理指標を超える発がん性物質のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたため。同
剤の後発品を販売している日本ジェネリックもこの日、同様の理由で自主回収(クラスI)を開始したと発表した。
■PTPアルミ箔の印刷インクと原薬に残留したジメチルアミンが反応か
原因について大日本住友は、「明確ではない」としている。そのうえで、PTPアルミ箔の錠剤接触面の印刷インクに含まれるニトロセルロース系樹脂由来の物質が、錠剤中の原薬にわずかに残留していたジメチルアミンと反応し、NDMAが生成された可能性があるとしている。
NDMAは発がん性物質であるため、「重篤な健康被害に至る可能性は否定できない」としている。ただ、これまでに同剤を服用した患者において、NDMAに関連した重篤な健康被害等の報告は「受けていない」としている。
回収対象品の出荷期間は2017年9月4日~19年12月24日。数量は250mgの100錠包装で約124万個、同1000錠包装で約38万個、500mgの100錠包装で約129万個、同1000錠包装で
約10万個――。
バラ包装品は回収の対象外としている。同社のMRは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月中旬から原則、訪問活動を自粛しているが、今回の自主回収に関して担当先に連絡を開始し、必要に応じて訪問での対応も行う。
大日本住友は本誌取材に、今後の製品供給に関して、「特約店や市場での偏在がなければ、欠品は回避できると考えている」と説明している。
メトグルコは、製剤まではフランスで、包装など最終製品化は日本で行い、大日本住友が販売している。
■日本ジェネリック 500mg錠のPTP包装品の一部を自主回収
日本ジェネリックのメトホルミン塩酸塩錠500mgMT「JG」も同日から自主回収を開始した。全ロットを調べたところ、500mg錠のPTP包装品の一部ロットで管理指標(0.043ppm)を超過する測定結果となったため、該当する75ロットの回収を決めた。なお、250mg錠のPTP包装品、バラ包装品(250mg、500mg)、原薬には管理指標を超えるロットはなかった。同社も在宅勤務を基本としているが、MRがこの日午後から担当先に電話連絡を開始し、必要に応じて訪問も行う。
日本ジェネリックも「可能性のひとつ」として、PTPシートの印字中の成分と製剤とが相互作用し、管理指標を超えるNDMAが生成したものと推定していると指摘している。なお、日本ジェネリックの同製品は、日本のつくば工場で製造されており、「大日本住友製薬の製品とは異なるもの」(日本ジェネリック)という。
厚生労働省は19年12月9日付で、海外でメトホルミン含有製剤からNDMAが検出されたことから、日本でメトホルミン含有製剤を製造販売する15社に対し、有効期限内の製剤及び原薬についてNDMAの分析を行い、結果を報告するよう指示した(
記事はこちら)。この厚労省の指示を受けて、大日本住友などの製造販売業者が原薬及び製剤についてNDMAの分析を実施したところ、検査水準を超えたNDMAが検出されたため、自主回収に着手した。
【訂正】
下線部に誤りがありました。訂正します。(4月28日10時40分)