ヒトは、なぜ、不合理なデザインや機能を抱え込んでいるのか
公開日時 2020/02/20 05:00
情熱的読書人間榎戸誠【不合理なデザイン・機能】『人体、なんでそうなった?――余分な骨、使えない遺伝子、あえて危険を冒す脳』(ネイサン・レンツ著、久保美代子訳、化学同人)は、ヒトの進化の途中で、このデザイン・機能はまずいな、不出来だなと気が付いても、もう間に合わないケースが結構あると指摘している。進化は後戻りできないため、生じてしまった、合理的とは言い難い、妙なデザインや機能を抱え込まざるを得ないのだ。そのまずいケースの中で、とりわけ興味深いのは、「後ろ向きになっている網膜」、「壊れて機能しないDNAやウイルスの死骸をたくさん抱えているゲノム」、「賭け事にはまり易い脳」の3つである。【網膜】「いびつな自然のデザインとしてもっとも有名な例は、魚類から哺乳類にいたるまで全脊椎動物が持っている網膜だ...