欧州医薬品庁（EMA）は2月4日、新型コロナウイルス感染症の治療薬、予防薬開発支援に積極的に取り組むとの声明を発表した。WHO(世界保健機関)が1月30日、中国を中心に感染が拡大している新型コロナウイルス（2019‐nCoV）感染症について公衆衛生上の国際的緊急事態を宣言したことを受けた対応。

EMAのGuido Rasi専務理事は、EMAは「公衆衛生上の脅威に対処する計画（枠組み）」を実施に移すと述べた。そのうえで、治療薬の開発などについて、「いかなる医薬品開発に対しても迅速な科学的アドバイスやフィードバックができるように欧州の医薬品ネットワークにおける強力な専門家を活用している」と話した。

EMAは体制整備を進める。抗ウイルス薬や予防ワクチンをめぐる開発パイプラインの情報分析を進めるほか、迅速な開発戦略の実行を後押しするなどして、迅速な開発を後押しする考え。欧州委員会（EC）、保健安全委員会（HSC: EU各国の保健担当大臣で構成する公衆衛生上の危険に対応する組織）、欧州疾病予防管理センター（ECDC）、WHOおよび国際医薬品規制当局連合（ICMRA）との情報交換、協力体制も整えている。

EMAは薬剤耐性、偽造医薬品、生物学的・化学的物質の脅威および感染症大流行などに対し、EUのネットワークを活用するなど、適切かつ迅速な対応が可能なようにする枠組みを構築しており、今回活用を決めた。