ミクス編集部はこのほど、製薬企業やCSOに所属する現役MRと営業管理職を対象に緊急意識調査を実施した。4月に施行した厚労省の販売情報提供活動GLについて回答を求めたところ、86.4%のMRから「自身の活動に変化があった」との回答を得た。その「変化」の内容をみると、「活動が委縮している」が55.9%で、2人に1人のMRがそう感じていた。一方、「将来に不安を感じる」との回答は全体65.4%に及んだ。早期退職優遇制度を導入する企業も増え、これに応募した同僚や先輩MRを見送る現役社員が増えている。厚労省の販売情報提供活動GLや薬価制度抜本改革などに、MR自身が圧迫感を感じている様子が垣間見えた。
今回の緊急意識調査はミクスOnlineユーザー433人から回答(調査期間10月24日~28日)を得た。販売情報提供活動GL施行後の活動の変化について回答を求めたところ、8割が何らかの変化を自覚していた。内資・外資別にみると、「活動が委縮している」との回答は、内資系の52.6%に対し、外資系は58.3%と、外資系が6ポイント程度上回っていることが分かった。また活動面でみると、「これまで話せていたことが大幅に制限されているように感じる」が全体で59.6%。内訳をみると、内資系60.8%、外資系57.7%。「業務記録(活動日報)に医師や薬剤師との口頭でのやりとりを記載するようになった」は全体で49.2%、内資系52.6%、外資系43.6%となった。
一方で、「むしろ働きやすくなった」は全体でわずか5.9%、「MRとしての能力が試されていることを実感している」が全体で35.3%と、いずれも回答率は低いものの、厳しい現実に立ち向かおうとするMR側の姿勢も垣間見られた。
◎別部署への異動希望18%、別会社へのMR転職6.7%、他業界への転職20.1%
緊急意識調査では、自身の将来について質問した。「将来に不安を感じる」と回答したMRが全体の65.4%に及んだ。内資・外資別にみると、内資系は63.0%、外資系は68.9%と外資系が6ポイント高い結果となった。一方、社内の別部署への異動(営業職以外)を希望するMRは全体で18.0%、内資系は17.8%、外資系は18.0%だった。別の会社にMRとして転職したいとの希望は全体で6.7%、内資系は4.1%、外資系は9.3%となった。さらに製薬業界以外への転職については、全体で20.1%、内資系は17.8%、外資系は21.9%となった。将来不安を多くのMRが感じているものの、実際の転職意向は低率で、業界外を希望するMRは2割程度だった。今回の意識調査からは、「MR以外で生計を立てるプランを検討しなければいけない」(40歳代、外資系)、「業界として給与水準を見直すべき時が来ている」(40歳代、内資系)など、所得と仕事のバランスについて、過去のような右肩成長が望めないことを背景に、MR側の意識の変化が読み取れた。その一方で、将来不安を払しょくするための手段として、「デジタルスキルを高めたい」が29.8%、「マーケティングスキルを学びたい」が28.2%あり、それぞれ3割近くが近未来のMR活動スキルの取得に前向きな姿勢を示していた。
◎セカンドキャリア「考えてみたい」38.3%
最後にMRのセカンドキャリアについても聞いた。「考えて見たい」との回答は38.3%。「給与水準が下回っても良い」との回答は47.1%。目先の転職意向は低いものの、自身に見合う仕事さえ見つかればセカンドキャリアで飛躍したいとの想いは意外と高いようだ。