くすりの適正使用協議会・俵木理事長 信頼できる医薬品情報提供サイトとの連携に意欲
公開日時 2019/06/13 03:50
くすりの適正使用協議会の俵木登美子理事長は6月12日の定時総会後の記者会見で、医療用医薬品の患者向け服薬説明指導書をデータ化した「くすりのしおり」をベースに、信頼できる医薬品情報サイトへの連携について検討する方針を明らかにした。くすりのしおりは製薬企業175社の協力により、1万6150種類の薬剤情報を同協議会のホームページから入手できる。サイトへのアクセス件数も19年5月1か月間で1767万PVまで拡大した。俵木理事長はまた、2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い訪日外国人が急増することから、英語版についても順次増やす考えを表明した。
くすりの適正使用協議会は1989年5月29日に発足し、今年で創設30周年の節目を迎えた。近年は、くすりのしおりの提供に加え、薬局のレセコンや病院の電子カルテへの搭載、日薬eお薬手帳などとの連携、一般向け医療関連サイトへの提供などに努めている。俵木理事長は、協議会HPへのアクセスが2017年秋以降急増しており、特にスマホユーザーの利用が拡大していると強調した。
◎「信頼されるサイト」一定の審査・判断基準なども検討
俵木理事長は、同協議会としての取り組みに触れ、「くすりのしおりサイトから信頼できる各種情報への連携を検討している」と表明。企業が患者向け資材を作成しているものの、患者になかなか情報が届かないとの課題や、患者が能動的に情報を得たくても得られない現状があるとし、「くすりのしおりを見に来た人が関連したサイトに飛んでいける入り口サイトを作る」ことも一考だとした。
ただ一方で、厚労省の販売情報提供活動ガイドラインへの対応など、近年は医薬品の情報提供をめぐる課題なども山積しているとし、「一定の審査、判断基準を作って適応でいるかどうかを含めて、外部の専門家に意見を求めるなどチェック体制を作っていかないといけない」との認識を示した。加えて厚労省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課とも話しながら進めていくとした。
◎東京2020で訪日外国人増加 英語版くすりのしおりの需要増す
俵木理事長は、英語版のくすりのしおりの重要性が増すと強調した。くすりのしおりは日本語版が1万6150枚作成されているのに対し、英語版は8824枚(いずれも19年5月現在)に止まっている。2020年はオリンピックイヤーであるほか、政府による外国労働者の受け入れ推進施策や、観光による訪日外国人の増加などが見込まれる。厚労省も「多言語による医療用医薬品に関する情報の提供について」と題する事務連絡を5月22日付で発出しており、同協議会としても、英語版の作成に取り組む方針を示している。俵木理事長は、「英語版の活用は訪日外国人が主となるが、日本人も海外渡航に際し、自身が服用する医薬品のしおりを持参することもできる」と述べ、英語版の利活用について広く周知する考えを示した。