ITによる業務支援システムを扱うシーエーシー(CAC)は2月25日、医療用医薬品のサプライチェーンにおけるトレーサビリティを確保するサービスの提供を開始すると発表した。偽造薬流通防止のための規制強化や日本版の医薬品適正流通基準(GDP)ガイドラインの導入で、製品出荷から医療機関納入まで製品の品質管理の重要性がさらに高まると判断。グローバルで同サービスを展開する米rfxcel社とパートナーシップ契約を締結し、rfxcel社のサービスの販売と導入支援などを行う。まずは製薬企業を対象に導入提案を進める。
rfxcel社のソリューションは、販売製品単位ごとに固有のシリアル番号を発行、それをほぼリアルタイムで追跡し、その情報をクラウド上で蓄積・共有できる。企業ごとや企業内部で部門によって異なるシステムを使用していても、データ変換し、クラウド上に蓄積できるのが特徴。製造委託、保管倉庫の委託をしていても、効率的で安全性を高めるサプライチェーンマネジメントの実現を支援する。
また、温度や湿度などが設定基準値を超えたり、位置がGPS座標から外れたりすると、アラートが表示されたりする機能を持つ製品もrfxcel社は提供している。
rfxcel社によると、海外では、偽造品問題が深刻化し、GDPの法規制化トもあり、トレーサビリティサービスの需要は高い。そのため海外では主要な製薬企業が同社の製品を採用している。今後、日本でも規制が強化され、需要が高まると見て、IT業務システムに強く、CROや安全性情報管理などを手掛け製薬産業向けサービスに詳しいCACを通じ、展開することにした。CACも、業務のデジタル化を支援する戦略の下、今後のトレーサビリティの需要増を見込み、先手を打つことで事業機会の獲得を進める。製薬企業や医薬品卸などサプライチェーン関係者と話し合いながら、事業計画・目標を詰める。
rfxcel社CEOのGlenn・Abood氏(写真右)は同日、本誌に「欧米では、すでに我々のサービスを活用している日本の製薬企業がある。(日本の規制等の環境の変化から)我々のサービスの価値に気づき始めるころだと思った。そこで日本にもサービスを提供することで、我々の価値を広く認知してもらえるのではないかと考えた」と話した。
CACの西森良太社長(写真左)は同日、本誌に「日本の物流は安心・安全と言われている。そのため日本では、まだそのトレーサビリティに関する市場は成熟していないが、その市場がグローバライズしていく流れは来ると見ている。我々としては業界に働きかけて、市場をつくっていきたい」と、新事業への抱負を語った。