協和キリン 透析に伴う高リン血症対象に「KHK7791」の国内フェーズ2開始 新規作用
公開日時 2019/02/15 03:50
協和発酵キリンはこのほど、透析患者の高リン血症に対する新規経口治療薬として開発中のtenapanor(開発番号「KHK7791」)について、国内フェーズ2を開始したと発表した。標準的な治療薬であるリン吸着薬とは異なる作用を持つ。試験では、リン吸着薬からtenapanorへ切り替えた際の有効性と安全性を評価する。
試験は、維持透析下の高リン血症患者60人(目標被験者数)を対象に行い、11月には終える予定。発表によると、同試験のほか、今後2つの第2相臨床試験、血液透析施行中の高リン血症を対象とした単剤用量反応試験、リン吸着薬との併用試験も実施予定。
腎機能が低下した慢性腎臓病患者では、リンの排泄機能が弱まり、体内に蓄積することで高リン血症を発症する。その状態が続くと、骨の痛みや骨折しやすいなどの症状、心血管系組織の石灰化による虚血性心疾患のリスクが高まる。それに対しリン吸着剤が標準的に用いられる。
それに対し「KHK7791」は、高リン血症に対して特徴的な作用機序であるNHE3阻害を通じて、食事によるナトリウムの吸収を抑え、結果として細胞内のプロトン濃度を上昇させることで、消化管のリン吸収を制御する細胞間接着を強固にし、リンの取り込みを抑制するという新しい作用を持つとされる。
同剤は米Ardelyx社から導入したもので、協和発酵キリンは、日本における高リン血症を含む心腎疾患領域を対象とした独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を2017年11月に締結した。同社は、腎領域を重点領域としており、製品拡充につなげたい考え。
米Ardelyx社は現在、米国で透析施行中の末期腎不全に伴う高リン血症を対象としフェーズ3を実施中。