IQVIA・湊方彦会長 AIエンジン「IQVIA’s Ada」で新たなエンゲージメント構築へ プロモーションを最適化
公開日時 2018/03/30 03:52
IQVIAジャパングループの湊方彦会長は本誌とのインタビューに応じ、製薬企業のセールス&マーケティングの生産性向上をサポートする目的で、同社が開発した「OCE」(オーケストレイテッド・カスタマー・エンゲージメント)と呼ぶテクノロジーソリューションの提供を開始する考えを明らかにした。OCEには最新のAIエンジン「IQVIA's Ada」が搭載され、より効果的なプロモーションサイクルを実現する。湊会長は、「このエンゲージメントプラットフォームを通じ、プロマネ、MR、コールセンター等のスムーズな協調が進み、プロモーションに関する効果の最大化はもとより、相互作用による高い付加価値が提供される」と強調した。
IQVIAジャパングループは4月1日付で、IQVIA サービシーズ ジャパン(現 クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン)と、IQVIA ソリューションズ ジャパン(現 アイ・エム・エス・ジャパン)に経営体制が変わる。湊会長はグループ全体を統括するほか、IQVIA サービシーズ ジャパンの代表取締役を兼務する。
◎これまで以上に医師や医療者へ情報提供が求められる
湊会長は、先の薬価制度抜本改革や地域包括ケアシステムに代表される医療提供体制の見直しなどを踏まえると、「少なくとも今後2、3年でMR総数は減少するだろう。製薬企業にとって、より少ない人数で、これまで通り、あるいはこれまで以上に顧客である医師や医療者へ情報提供することが求められる」と見通した。その上で、こうしたマーケットの激変に対応するためのサービスとして、「我々はOCEの日本版をグローバル戦略とほぼ同じ程度のタイミングで導入し、提供・運用できるソリューションを用意する」と述べた。
◎AI技術でより効率的なプロモーションサイクル実現へ
OCEとは、オーケストラが奏でる交響曲にたとえ、演奏者であるMR、プロマネ、コールセンター等がそれぞれ協調し、「あらゆる顧客とのマルチタッチポイントを駆使した最適なプロモーションを実現する」(湊会長)というもの。AI技術を搭載することで、これまで経験則に委ねられてきた“Face to Faceコミュニケーション”に新たなサジェスチョンを与え、より効果的なプロモーションサイクルへと成熟させていくことにある。湊会長は、「単純にヒトをeに変えるという話ではない。全体をコーディネーションして、医師の属性にあわせて、あるいは医薬品と医師の属性にかけ合わせて、うまくバランスされないといけない。顧客にとって一番いい形、医薬品にとって一番いい形、この医師にとって一番いい形、しかも、3つ掛け合わさった時の一番いい形を、AIでやる」と述べた。また生産性向上の視点からは、「実は優秀なMRはこうした努力を日々積み重ねており、医師の嗜好に応じたアプローチも実践している。これをAIで構築し、これを知見としてデータの中に蓄えることで、使えば使うほど、優秀なMRの方法を学ぶこともできる。もちろん作り込みが必要だ。ここは我々も顧客と一緒に作り込んでいくことが求められる」と強調した。
◎データビジネスは「コア」 コンプライアンスで新サービススタート
このほか既存のデータビジネスについて湊会長は、「コアの一つであることに変わりはない。過去も今も将来もここに積極的に投資する」と強調。「セミパブリック、パブリックなど利用可能な情報も扱えるようになるだろう。セールス&マーケティングでこれまで開発したセグメンテーション、ターゲティングモデルなどはクライアントと一緒に作らせていただいたマーケティング手法だ。我々はデータを使って何をするかを創造し、サービス提供する」とした。
新規ビジネスについては、企業向けのコンプライアンスで新サービスを提供開始したことを明らかにした。湊会長は、「ライフサイエンス企業はあらゆる活動に厳格な法規制・ガイドラインが適用されており、特にステークホルダーとの関係性には常に透明性担保が求められる。当社ではコンプライアンス遵守を支援するデータベースを入手しており、日本を含めグローバルで最新の法規制をカバーしながらリスクマネジメントと業務効率化を両輪で寄与できるようになった」と述べた。
Monthlyミクス4月号(4月1日発行)では、IQVIAジャパングループ・湊方彦会長のインタビューを掲載します。こちらもご覧ください。