IFPMA 国際的なNTD征圧状況を報告
公開日時 2017/04/25 03:50
国際製薬団体連合会(IFPMA)は4月18日、報告書「我々の役割を果たそう―顧みられない熱帯病(NTD)と戦うために技術革新をしよう」(Doing our part-Innovating to fight Neglected Tropical Diseases) を発表した。今年は、世界保健機関(WHO)が主導、官民が一体となって、2020年に向けて顧みられない熱帯病(NTD)10疾患の征圧を目指すとしたロンドン宣言発表から5年目に当たる。
報告書によると、IFPMAメンバー企業は現在、NTDに対する新規治療薬、あるいは既存薬を改良した治療薬/ワクチンなど109件の開発プロジェクトに関与しているという。そのうち、7件の治療薬もしくはワクチンは、シャーガス病、デング熱、アフリカ睡眠病(アフリカトリパノソーマ)、リンパ系フィラリア症、狂犬病およびトラコーマを適応と現在フェーズIII段階にある。なお、10疾患は、トラコーマ、ハンセン病、アフリカ睡眠病、ギニア虫感染症、リンパ系フィラリア症、シャーガス病、リーシュマニア症、河川盲目症(オンコセルカ症)、住血吸虫症および土壌伝播寄生虫症である。
これらプロジェクトに関与している企業は、NTDの領域は経済的インセンティブが小さいにも関わらず、有名大学、非政府組織および公的・民間研究所など50以上の組織と多部門横断的な研究協力モデルを構築しているとしている。
IFPMAは、世界のヘルスコミュニティーがロンドン宣言以降5年でNTD征圧のため何が具体化されたかをレビューし、今後、NTD管理・制圧の目的達成のためにどう対応するかの議論のたたき台にするため同報告書をまとめた。
2012年には、IFPMA会員企業は、10のNTDに対して140億回治療分の無償提供を申し出た。2015年には1年で15億回分を無償提供した。
IFPMAのThomas Cueni理事長は、「健康は富である。NTDが存在し経済発展を妨げている国(地域)ほどそのことが明らかな場所はない」と指摘したうえで、「研究開発志向型バイオ・医薬品企業は、医薬品の無償提供を史上最高のレベルに上げたばかりでなく、長期的な(NTD)治療薬研究開発の基盤を前進させてきた」とNTD征圧に向けた事業が進捗していることを評価した。