米CMS 2014年医療費は3兆ドル
公開日時 2016/07/20 03:50
米国の2014年国民医療費(National Health Expenditure:NHE)が3兆ドルに達したことが分かった。米メディケア&メディケードサービス庁(CMS)が7月13日に発表した。CMSは併せて、医療政策専門誌「Health Affairs」に国民医療費に関する報告を掲載した。
2014年のNHEは、対前年比5.3%増の3兆ドル、1人当たり医療費では9523ドルとなった。対国内総生産比(GDP)比では17.5%となった。
NHEの内訳は、メディケア(高齢者保険)医療費が対前年比5.5%増の6187億ドル、NHEにおける構成比は20%、メディケード(低所得者保険)医療費は11.0%増の4958億ドル、構成比16%、民間保険医療費が4.4%増の9910億ドル、構成比33%、自己負担額は4.1%増の9718億ドル、構成比11%となった。また、総薬剤費(処方せん薬)は、対前年比12.2%増の2977億ドルとなった。
併せて、2015年以降のNHE推定値も公表された。2015年のNHEの伸びは5.5%、2016年は4.8%と見込まれている。2015年のNHEは、3兆2000億ドルと見込まれている。2015年から2025年の間、年平均5.8%の伸びを示し、対GDP医療費では、2025年には20.1%に達すると推定されている。
保険カバー率については、2014年の89%が2025年には92%に上り続けると見込まれている。2016年のメディケード医療費の伸びは、加入者の伸びの低下や運用の厳格化などにより5.3%と予想され、2017年から2019年には平均5.6%と見込まれる。
2014年の薬剤費の伸びは12.2%だったが、2015年も8.1%と比較的高く、CMSは、その理由をC型肝炎治療薬など高薬価製品の影響が及んでいるためとみている。しかし、2016年から2025年の薬剤費の伸びは平均6.7%と推定している。
CMSのAndy Slavitt長官代行は、「『手ごろな価格の治療法』(Affordable Care Act)は医療費の伸びを適正なレベルに抑制し、ここ20年では低い伸びにしている。このような伸びでも、初めて保険加入する米国人を助けることに寄与している」と述べたうえで、「1人当たり医療費と診療費(病院・診療所サービス)が非常に適正なレベルでとどまっていることは、我々の医療供給システムの改革を続行する重要性を示している」と改革を行えば医療費を抑制できるとの考えを示した。