抗がん剤 誤った体重で処方・過量投与 日本医療機能評価機構が注意喚起
公開日時 2015/07/16 03:51
日本医療機能評価機構は7月15日、注意を要する医療ミスについて取り上げる医療安全性情報No.104で、2011年1月~15年5月末までに、抗がん剤処方時に患者の体重を誤って入力し、過量投与になったミスが4件報告されているとして、医療従事者に注意を呼びかけた。
抗がん剤の注射剤は、患者の身長・体重から体表面積を計算し、薬剤量を算出する。同情報によると、外来時に患者の体重が測定されていなかったため、医師が「99kg」と仮の体重を入力し、その後変更するつもりでエルプラット点滴静注液を処方。投与当日、医師は処方の体重を「43.1kg」と修正したが。すでに薬剤部で調製が終わった後で、99kgの用量で患者に投与されてしまった。その後、薬剤師が投与量を再度計算し、過量投与に気付いたという。
また同情報によると、オーダリング画面で患者(1歳)にオンコビン注射用の処方を行う前に、同一疾患・同一プロトコルの患者(3歳)の電子カルテを参照し、3歳の患者の身長と体重で算出した体表面積に基づく薬剤量を、1歳の患者に処方したケースもあった。時間外の処方であったため、薬剤部では体重のチェックが行われずに、病棟に薬剤が交付。看護師は指示の通り調製を行い、医師が静注した。その後、薬剤部が確認した際に、過量投与であることに気付いたが、投与は終了していたという。
そのほか、看護師が誤った体重を入力したために過量投与された2件のミスも紹介した。
ミスのあった医療機関では「レジメンオーダ時に体重を測定し、正しい値で処方を行う」という対策が取られたという。