国がん 治療抵抗性乳がん治療薬で医師主導治験開始 核酸医薬用いる
公開日時 2015/07/08 03:50
国立がん研究センターは7月7日、治療抵抗性乳がん患者を対象に核酸医薬を用いた医師主導治験を開始したと発表した。核酸医薬は、がんの増殖などに関わる異常な遺伝子の働きに対し、その遺伝子に直接作用し、増殖や転移を抑えるという新しい技術。治験で標的とするのは抗がん剤を細胞外に排出し、抗がん剤耐性に関与しているとされるRPN2遺伝子。それに対し、同遺伝子の発現を抑えるように人工的に合成したsiRNAを標的細胞に取り込まれやすくした核酸医薬製剤「TDM-812」を開発、治療薬としての実用化を目指す。
開始した治験は安全性や推奨用量を確認するフェーズ1。6月30日に、鎖骨下リンパ節転移(局所腫瘤)を有するトリプルネガティブ乳がん患者に対して初めて投与したという。
治療抵抗性の局所進行・再発乳がんでは、既存治療で対応が困難な局所病変を制御する新規治療の開発が求められていた。それに対しバイオベンチャーのスリー・ディー・マトリックスの技術を用い「TDM-812」を共同で開発した。