難病の認知低く 慢性血栓塞栓性肺高血圧症の認知率は1割強 バイエル調査
公開日時 2015/04/22 03:51
バイエル薬品はこのほど、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH(シーテフ))と難病に関する意識調査を行い、CTEPHの認知率は12.6%と調査対象の9つの難病の中で最も低かったとの調査結果をまとめた。難病は「社会生活が困難」「明確な治療法がない」「治らない」とのイメージを多くの人が持っていることもうかがえた。今回の調査結果について、慶應義塾大医学部循環器内科特任助教の川上崇史氏は、「CTEPHは難病の中でも治療法のある疾患のひとつ」「難病の中には早期発見と早期治療で患者のQOLが著しく向上する疾患もある」とコメントし、疾患を知って前兆を見逃さないことが重要と指摘している。
調査は全国の20代~60代の男女を対象に、3月16日~18日に実施した。有効回答数は1000人。調査手法はインターネット調査。5月5日の世界肺高血圧症デーを前にCTEPHなどに対する意識調査を行った。
CTEPHに次いで認知率が低かったのはアミロイドーシス(認知率13.8%)、ウェゲナー肉芽腫症(13.9%)――。認知率が高かったのは上位からパーキンソン病(87.3%)、クローン病(68.7%)、潰瘍性大腸炎(52.3%)――だった。
CTEPHでは、肺の血管の内側に血のかたまり(血栓)が詰まり、血液が流れにくくなって肺動脈へかかる圧が上昇する肺高血圧症と呼ばれる状態が続く。息苦しさや身体のだるさ、胸の痛みなど様々な症状が現れる。治療法には血栓を取り除く外科手術やカテーテルで血管を広げる治療法が行われ、最近では肺動脈を広げる作用を持つ内服薬での薬物治療もある。
今回の調査では、約7割の人が日常で「疲れやすさ」や「だるさ」などを感じているにもかかわらず、「何もしない」との回答が4割以上との結果も得られた。同社は「日常起きる症状の中に隠れた疾患や難病が隠れている可能性を疑う人は少ないことも示唆された」としている。