富士フイルム エボラ出血熱で未承認薬提供の検討表明
公開日時 2014/10/07 03:51
富士フイルムは10月6日、グループの富山化学が開発したアビガン錠(一般名:ファビピラビル)がエボラ出血熱に対し治療効果が見込めるとして、複数の国、機関から提供要請を受けていることを明らかにし、「今後、日本政府と協議しながら、対応を検討していく」と発表した。
日本では同剤は、新型インフルエンザに対する治療薬として富山化学が3月に承認を取得。その後、同剤がエボラ出血熱に効果が見込めるとして、感染したフランス人女性看護師に他の薬剤との併用する形で9月19日に投与された。同国の医薬品規制当局ANSMから報告を受けた富士フイルムによると、その女性は治癒に至り、4日に退院した。
それに続き、ドイツでは10月4日、フランクフルト大学病院に搬送されたウガンダ人の感染者に対し、アビガン錠が単剤投与されたと、同院から連絡を受けたという。いずれも、日本政府との協議の上で緊急対応として提供したものだとしている。
フランスとギニアの両政府が、11月からギニアでの実施を検討しているエボラ出血熱に対するアビガン錠の臨床試験に対しても、日本、フランス、ギニアの政府と協議しながら薬剤の提供について協力する予定だとしている。
同剤は、インフルエンザウイルス遺伝子の複製酵素であるRNAポリメラーゼを選択的に阻害し、ウイルスの増殖を阻止するという新しい作用を持つ。日本で抗インフルエンザウイルス薬として承認された際、通常の季節性インフルエンザウイルス感染症に対する有効性が確認されていないうえ、催奇形性リスクもあることから、通常のインフルエンザに使用されることのないよう厳格な流通管理、十分な安全対策を実施することなどの条件が付されている。