製薬協 COI開示をウェブ閲覧方式に統一
公開日時 2014/09/19 03:52
日本製薬工業協会は9月18日の理事会で、利益相反(COI)をめぐり、医師への原稿執筆料など資金提供の公開の方法について、これまで一部企業で実施されてきた来社閲覧方式を廃止し、ウェブ閲覧方式に統一することで合意した。理事会後の記者会見では、会長声明(多田正世会長・大日本住友製薬社長)が発表され、「再度問題意識の共有を図り、この問題に関する今後の改善に向けての我々の決意を改めて表明する」と決意を表した。
会長声明では、臨床研究不正などを受け、「社会の不信感や懸念を払しょくし、その信頼回復に全力で取り組むことが、課せられた喫緊かつ最優先の課題と強く認識している」とした。その上で、製薬協が策定した透明性ガイドラインの趣旨に沿って、「可能な限り改善の努力を積み重ねていく必要がある」との認識を示した。
そのひとつとして、現状各製薬企業でバラバラだった情報公開の内容やアクセスの方式などについても“社会の納得性の高いもの”とすることが必要と判断。ウェブ閲覧方式への統一を図ることとなった。
ただ、現状ではウェブでの公開方法の統一化はせず、運用は各製薬企業に任されることとなる。また、今年度についてはすでにCOIの開示方法について、各製薬企業と医師との間で合意に達していることから、数社では来社閲覧方式で実施されるとの見方も示した。
◎田中常務理事「情報提供と労務提供、プロモーションの線引きは残る課題」
医師とのCOI、特に臨床研究をめぐっては、MRだけでなく、メディカル部門をいかに営業部門と分離するかも議論となるところ。製薬協では、製薬協コード・オブ・プラクティスの研修を実施するなど、コンプライアンス向上の取り組みを進めてきた経緯がある。田中 徳雄常務理事は、「コード・オブ・プラクティスは、メディカル、開発製薬企業全員にかかわるコード」と説明。COIの問題は、「製薬企業全員にかかわる問題だ」との認識を示し、今後MR以外のメディカルなどの職種にもコード・オブ・プラクティスの浸透を進める考えを改めて示した。その上で、「情報提供なのか労務提供なのか、情報提供なのかプロモーションなのか、この辺の線引きについてはまだ課題としては残っていると認識している」と述べ、依然としてCOIをめぐる課題が残存するとの認識も示した。