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【ASCO速報】GOG 240試験 ベバシズマブ併用で再発・進行子宮頸がん患者の全生存、無増悪生存、奏効率が有意に改善

公開日時 2013/06/05 05:00

化学療法に血管新生阻害剤ベバシズマブを併用することで、これまで治療選択肢がほとんどなかった再発・進行子宮頸がんの全生存(OS)、無増悪生存(PFS)、奏効率(RR)を、いずれも有意に改善することが分かった。標的治療薬によって、婦人科がんの生存期間の有意な延長が示されたのは、はじめて。5月31日から6月4日まで米国シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次集会のプレナリーセッションで、2日、University of California IrvineのKrishnansu Sujata Tewari氏が発表した。


世界レベルでみると、年間25万人が子宮頸がんで命を落としている。初回治療後に再発した進行子宮頸がんは、化学療法にあまり反応せず、現時点で治療選択肢がほとんどない。シスプラチン+パクリタキセルが標準的な化学療法として用いられているが、OS中央値は12カ月未満にとどまる。また1999年のNCIによるClinical Alert以降、局所進行疾患へのシスプラチンを加えた化学放射線療法が普及してきたことで、シスプラチン耐性の患者は増加しており、新たな治療法確立が急務となっていた。


子宮頸がんでは、腫瘍血管新生の活性化が知られている。パップスメアテストで異常を示す内腔組織における血管新生は、浸潤疾患の顕著な特徴である。また、腫瘍内の微小血管密度上昇は、予後不良と関連していることなどから、血管内皮増殖因子は、多くの固形がんで、重要な治療ターゲットとして認識されている。血管新生阻害剤ベバシズマブは、子宮頸がんに対する臨床第2相試験GOG227Cで、単剤での活性が認められている。


本試験は、こうした背景のもと、2×2ファクトリアルデザインで、(1)プラチナ含有の化学療法と、非プラチナ製剤の化学療法との比較、(2)化学療法にベバシズマブを併用することの効果—を検討した。対象は、原発のステージIVBまたは再発/抵抗性(測定可能病変あり、GOG PS 0-1)で、再発疾患に対する化学療法既往のない子宮頸がん患者452例。以下の4群に1対1対1対1で無作為割付け、増悪(PD)または許容できない毒性またはCRまで、21日毎に投与した。


▽プラチナ含有化学療法群:パクリタキセル135mgまたは175mg/m2 i.v.+シスプラチン50mg/m2 i.v.
▽プラチナ含有化学療法+ベバシズマブ群:パクリタキセル135mgまたは175mg/m2 i.v.+シスプラチン50mg/m2 i.v.+ベバシズマブ15mg/kg i.v.
▽非プラチナ製剤化学療法群:パクリタキセル175mg/m2 iv+トポテカン0.75mg/m2 1-3日目
▽非プラチナ+ベバシズマブ群:パクリタキセル175mg/m2 iv+トポテカン0.75mg/m2 1-3日目+ベバシズマブ15mg/kg i.v.


化学療法同士の比較については、プラチナ製剤含有の有無にかかわらず、OS(中央値)に差がないことが、すでに報告されている。


◎OS、PFS、RRすべてが改善


ベバシズマブ併用の有無でみると、追跡期間中央値20.8カ月において、OSイベントは、ベバシズマブ併用群で131イベント(58%)、化学療法群では140イベント(62%)で発生。OS(中央値)は、ベバシズマブ併用群で17.0カ月と、化学療法群の13.3カ月と比較して有意に改善されていた(ハザード比[HR]=0.71、95%CI 0.54-0.94、p=0.0035)。


PFSイベントは、ベバシズマブ群で183イベント(81%)、化学療法群の184例(82%)で発生。PFS(中央値)は、ベバシズマブ併用群で8.2カ月と、化学療法群の5.9カ月と比較して有意に改善されていた(ハザード比[HR]=0.67、95%CI 0.54-0.82、p=0.0002)。


奏効率も、ベバシズマブ併用群で48%、化学療法群で36%と、ベバシズマブ併用群で高く、CR例も有意に多かった(28例対14例)(p=0.00807)。


有害事象は、高血圧、出血、塞栓症、消化管穿孔など、ベバシズマブ特有の有害事象がベバシズマブ併用群で多かったが、いずれも10%未満だった。健康関連QOLは、ベバシズマブ併用によってやや低下したが、臨床的、統計学的に意味のあるものではなかった。


◎標的治療薬がはじめて婦人科がんの生存率を延長


ディスカッサントのGottfried E. Konecny氏(University of California Los Angeles)は、PFSが3~5カ月、OSが6~7カ月という、ここ25年間の進行子宮頸がんの臨床試験成績を紹介。両群の予後因子がよくバランスがとれ、被験薬がNCIから提供されるなど、質の高いGOG240試験で、17.7カ月というOSを得たことは、臨床的に非常に意義が高いと評価。GOG240は臨床を変える(practice changing)試験だとした。


子宮頸がんは、原因ウイルスHPVの腫瘍遺伝子が、VEGF発現をアップレギュレートすることから、VEGFを標的とする理論的根拠が強く、他の血管新生阻害剤についても、研究を進めるべきとし、その併用によって2次耐性、3次耐性を防げる可能性に期待を寄せた。一方で、現時点では、反応性の予測因子が同定されていないことを指摘。今後の課題だとした。


また、Tewari氏、Konecny氏はともに、子宮頸がんの疾病率、死亡率は経済的開発途上国でより高いことに触れ、コストについても、社会的負担とのバランスを考え、この治療を本当に必要としている人々に提供できるようにすべきだとの見解を示した。


 


 

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