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【ISC速報】ROCKET AFサブ解析 地域や腎機能、血小板数、血圧値などが頭蓋内出血と関連?

公開日時 2012/02/06 05:00

ROCKET AF(Stroke Prevention Using the Oral Direct Factor Xa Inhihbitor Rivaroxaban Compared With Walfarin in Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation)のサブ解析結果から、頭蓋内出血の予測因子として、地理的な地域差や、クレアチニンクリアランスの低下、拡張期血圧値の上昇、血小板数、血清アルブミンや服用薬剤などとの関連が浮かび上がってきた。ROCKET AF Steering CommitteeのGraeme J.Hankey氏が2月1~3日まで米国・オーランドで開催された国際脳卒中学会(ISC)で、2日に開かれたセッションで報告した。(望月英梨)


心房細動患者に抗凝固療法を施行することで、脳卒中の発症リスクを低減できることが知られており、大規模臨床試験「ACTIVE-A」「ACTIVE-W」「RE-LY」「ARISTOTLE」「ROCKET AF」を対象としたメタ解析によると、プラセボに比べて22%のリスク抑制効果があると報告されている。一方で、抗凝固療法の最も重大な合併症として、頭蓋内出血があり、発生率は1%/年とされている。


このような状況を受け、解析は、ROCKET AFに参加した、抗凝固療法を受けた心房細動患者1万4264例を対象としたコホートで、頭蓋内出血の明らかな独立予測因子を確定することを目的に実施された。

対象は、脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、全身性塞栓症の既往歴があるか、▽心不全または左室駆出率(LVEF)≦35%▽高血圧▽75歳以上▽糖尿病――の少なくとも2つ以上の危険因子を合併した心房細動患者1万4264例。①頭蓋内出血発症例172例②非出血性脳卒中発症例414例③いずれも発症しなかった1万3678例――の3群に分け、比較した。主要評価項目は、頭蓋内出血の発生率。CT、MRI、剖検で診断した症候性のものとした。追跡期間は1.94年間(中央値)。


◎頭蓋内出血の発生頻度は0.68%/患者・年に


頭蓋内出血172例の内訳は、脳出血128例、くも膜下出血5例、硬膜下血腫38例、硬膜外出血1例だった。Kaplan Meier曲線で、頭蓋内出血の発生リスクをみると、0.68%/患者・年だった。

頭蓋内出血と関連する因子としては、▽クレアチニンクリアランス(Cockcroft-Gault計算式による、10mL/min減少するごとにHR:1.10[95%CI:1.04-1.18]、p=0.002)▽脳卒中またはTIAの既往(HR:1.55[1.14-2.11]、p=0.006)▽東欧人(vs西欧人、北アメリカ、ラテンアメリカ、アジア‐パシフィック、HR:0.34[0.22-0.50]、p<0.001)▽拡張期血圧値(10mmHg上昇につき、HR:1.21[1.05-1.41]、0.010)▽ベースライン時のビタミンK拮抗薬(ワルファリン)の使用(HR:0.62[0.45-0.85]、0.003)▽チエノピリジン系薬剤(クロピドグレル)の使用(HR:2.50[1.27-4.92]、0.008)▽血小板数<210×109/L(10×109/L低下するにつれ、HR:1.08[1.03-1.14]、0.002)▽アルブミン(0.5g/dL低下するにつれ、HR:1.37[1.11-1.69]、0.004)▽リバロキサバン投与(vsワルファリン、HR:0.60[0.44-0.83]、0.002)――となった。これらの因子をの平均C-indexは0.711[95%CI:0.670-0.752]だった。

内的妥当性を検証したところ、Optimism corrected C-indexは0.67だった。また、推定糸球体濾過量(eGFR)は年齢とBMI、拡張期血圧値と収縮期血圧値、地理的な地域と人種はいずれも高い関連性を示した。
Hankey氏は、頭蓋内出血に関連する可能性があるものの、ベースラインまたは頭蓋内出血時にデータがとれなかった因子として、▽アポリポ蛋白E2、E4▽CYP 2CP▽脳内白質病変▽脳内微小出血▽脳血管病理:アミロイド血管障害▽クレアチニンクリアランス<30ml/min▽図画に出血時のINR値――をあげ、試験の限界を説明。そのほか、頭蓋内出血の発症した場所と大きさを確定できないことや、診断などでのバイアスの存在などもある可能性を示唆した。

その上で、▽アジア-パシフィック、北アメリカ、ラテンアメリカ、西欧▽脳卒中やTIAの既往▽ビタミンK拮抗薬ナイーブ(投与されたことがない)▽チエノピリジン系薬剤の服薬▽拡張期血圧の上昇▽クレアチニンクリアランス低下▽血小板数低下▽血清アルブミン▽ワルファリンの投与(vsリバロキサバン)――で頭蓋内出血が増加するリスクがあるとした。また、そのほかの心房細動患者で外的妥当性を検討していく必要性があるとの考えも示した。

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