同剤は、甲状腺腫などに適応を持つ薬剤。厚労省は迅速審査し、４月30日付で甲状腺内部被ばく予防・低減の適応を追加することを承認した。用法・用量は、13歳以上には１回100mg、３歳以上13歳未満には１回50mg、生後１カ月以上３歳未満には１回32.5mg、新生児には１回16.3mgを経口投与する。投与量が50mg以下となる３歳未満の投与方法について同社は、小児がのみやすい剤型などを検討するとしている。「安定ヨウ素剤取扱いマニュアル」（財団法人原子力安全研究協会）では、散剤を溶解して内服液を調製する方法を掲載しており、丸剤以外による調製を参考にするとみられる。

 

同剤は、原子力災害で放出される放射性ヨウ素が甲状腺に一定量以上蓄積されると、残りは排泄される仕組みを利用し、蓄積前に非放射性の安定ヨウ素を甲状腺に取り込ませることで、放射性ヨウ素を排泄させ、甲状腺の内部被ばくを抑える仕組み。これまでも安定ヨウ素剤は原発災害に備え自治体で備蓄されていたが、原子力規制委員会が４月にまとめた原子力災害対策指針改定案で安定ヨウ素剤の事前配布方法などを定めた。今回の製剤については薬事法の承認を得ることで懸念されていた副作用の被害救済も可能になる。