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リリー社のramucirumab、難治性胃がん治療にインパクト

公開日時 2013/02/21 04:00

米イーライリリー社のIgG1モノクローナル抗体のVEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤ramucirumabは胃がん患者に対するセカンドラインとしての効果を検証したREGARD試験において単剤での活性を示し、全生存期間(OS)におけるベネフィットを有意に示す化学療法以外の薬剤の1つとなったが、多数の専門家は「そこそこ」のベネフィットではFDA(米食品医薬品局)承認取得には十分でないと疑問を投げかけている。


リリー社は、2008年に米ベンチャーImClone Systems社を65億ドルで買収した際に、同剤の権利を取得し、同剤には多額の投資を行ってきた。現在、胃がんで2本、乳がん、肝がん、肺がんで4本の計6本のフェーズIII試験を実施中だ。REGRAD試験のフルのデータは、今年1月24日の米国臨床腫瘍学会(ASCO)消化器がんシンポジウムで発表された。 


REGARD試験では、ベストサポーティブケアを併用しつつ、プラセボ対照二重盲検無作為化試験で白金製剤および、もしくはフロオロピリミジンとの併用療法後の進行胃がん患者355例を対象に実施された。リリー社は、かつて速報で同剤はOSのプライマリーエンドポイントに達したと発表していたが、最終結果は、多数のアナリストが期待していたよりも小さなベネフィットしか示さなかった。Ramicirumab投与群は5.2か月、プラセボ投与群は3.8か月で、有意差はP値が0.0473とわずかに有意差が出たのみだった。無病生存期間(PFS)は、2.1か月対1.3か月でP値は0.0001以下となった。同剤はプラセボに比べ、奏効率では大きなベネフィットを示さなかったが、疾患コントロールを改善した。


リリーは、REGARD試験は全生存期間とPFSで、再発胃がんに対する化学療法剤以外の薬剤として、ベネフィットを示した最初の試験だと誇っている。


同社は、同剤について、単剤療法として2013年には承認申請の計画であることを明らかにしていたが、この結果が、申請計画にどのような影響を与えるかについてはコメントを避けている。


承認の観点からみると、同剤は、胃がんが難治性疾患なのでアンメットメディカルニーズを持っている。胃食道がんにおけるOSを示せなかった薬剤には、ロシュのVEGF阻害剤Avastin(ベバシズマブ)、アムジェンのEGFR阻害剤Vectivix(パニツムマブ)、ノバルティスのmTor阻害剤Afinitor(エベロリムス)がある。現在まで様々な作用機序の薬剤が失敗しているので、研究者のなかには、c-metパスウェイが標的として有望だと考える者もいる。


Sarah Cannon Research Institute(本社:テネシー州ナッシュビル)のJohanna Bendell氏は、「我々は、まだ、胃食道がんの患者に対する有効な標的薬剤を見つけ始めたところだ。我々は、単剤あるいは化学療法との併用で、あるいは他の標的薬剤と併用での新規のパスウェイや薬剤を見極め続けている」とASCO消化器がんシンポジウムのプロシーディングで述べている。

アナリストのREGARD試験結果の反応は明暗入りまじったもので、胃がんのセカンドラインとしては化学療法単剤と同等で申請可能で今回の試験データで十分申請できるが別のRFAINBOWという試験の結果を求められるのでないか、あるいは、結果には失望したものの、RAINBOW試験のデータが要求されるが、REGARD試験のデータで承認には十分そうだ―などの見方が出ている。今後の成り行きが注目される。(訳注:RAINBOWは、ramucirumab/パクリタキセル併用群とパクリタキセル単剤群との比較フェーズIII試験)


The Pink Sheet 1月28日号

 


 

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