中医協は２月13日、新薬17成分25品目を薬価収載することを了承した。収載は22日の予定。経口抗凝固薬エリキュース錠（アピキサバン、ブリストル・マイヤーズ）や生物学的製剤で関節リウマチ（RA）治療薬シムジア皮下注（成分名：セルトリズマブ ペゴル、会社名：ユーシービージャパン）、国内初の「ハンチントン病」治療薬コレアジン錠（テトラベナジン、アルフレッサファーマ）などが22日以降、販売の運びとなる。
収載予定品目は次のとおり。
▽コレアジン錠12.5mg（テトラベナジン、アルフレッサファーマ）
効能・効果：「ハンチントン病に伴う舞踏運動」
薬価（１錠）：385.40円（原価計算方式で算定）
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数320人、販売金額2.5億円
加算なし
ハンチントン病の治療薬としては国内初。厚労省の未承認薬開発支援事業の基金や未承認薬等開発支援センターの助成金を受けて開発された。希少疾病用医薬品。
▽ミニリンメルトOD錠60μg（デスモプレシン酢酸塩水和物、フェリング・ファーマ）
効能・効果：「中枢性尿崩症」
薬価（１錠）：117.30円
市場予測（ピーク時７年後）：投与患者数6300人、販売金額8.9億円
加算なし
既存の120μg、240μg製剤はフェリングと協和発酵キリンでコ・プロモーションしている。
▽トビエース錠４mg、同８mg（フェソテロジンフマル酸塩、ファイザー）
効能・効果：「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」
薬価（１錠）：４mg190.90円、８mg286.40円（１日薬価190.90円）
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数36万人、販売金額120億円
加算なし
新規抗コリン薬。フェソテロジンの活性代謝物は同社の既存薬デトルシトール（トルテロジン）と同じもの。デトルシトールは１日１回４mgの用法のみだが、トビエースは８mgまで増量が可能で、４mgでは効果不十分だった患者の選択肢になるとみられる。
▽ホスリボン配合顆粒（リン酸二水素ナトリウム一水和物／無水リン酸水素二ナトリウム、ゼリア新薬）
効能・効果：「低リン血症」
薬価（１包）：68.70円（原価計算方式で算定）
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数3700人、販売金額1.4億円
減算５％：減算理由「院内製剤を製剤化したものであり、革新性が高いとは言えない。しかし、開発にあたっては、乳幼児も服用が可能となるように顆粒剤とした上で、治験が実施されていることから、減算率を５％にとどめることとした。」
同症の治療法で一般的な経口リン酸塩製剤は日本にはなく、日本小児腎臓病学会などから開発要望され、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」から開発要請されていた。
▽エリキュース錠2.5mg、同５mg（アピキサバン、ブリストル・マイヤーズ）
効能・効果：「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」
薬価（１錠）：2.5mg144.90円、５mg265.20円
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数22万人、販売金額340億円
加算なし
BMSとファイザーが共同開発し、両社でコ・プロモーションする。
▽エルカルチンFF内用液10％（レボカルニチン、大塚製薬）
効能・効果：「カルニチン欠乏症」
薬価（10％１mL）：70.40円（１日薬価1408.00円）
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数3400人、販売金額12億円
加算なし
カルニチン欠乏症は筋肉や肝臓などに様々な障害を及ぼす。10年の厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で医療上の必要性が高いと判断され、錠剤は公知申請により11年３月に承認。内用液剤、静注製剤は開発していた。液剤は錠剤がのめない患者向け。
▽エルカルチンFF静注1000mg（レボカルニチン、大塚製薬）
効能・効果：「カルニチン欠乏症」
薬価（1000mg５mL１管）：934円（１日薬価3923円）
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数2900人、販売金額4.1億円
加算なし
開発経緯はFF内用液と同じで、急性期の患者、経口摂取ができない患者向け。
▽アクトネル錠75mg／ベネット錠75mg（リセドロン酸ナトリウム水和物、味の素／武田薬品）
効能・効果：「骨粗鬆症」
薬価（１錠）：2945.50円（１日薬価換算98.20円）
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数58万人、販売金額200億円
加算なし
月１回投与のビスフォスフォネート製剤。アクトネル錠は味の素が製造し、エーザイが販売。ベネット錠は武田薬品が製造・販売している。
▽アフィニトール分散錠２mg、同３mg（エベロリムス、ノバルティスファーマ）
効能・効果：「結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫」
薬価（１錠）：２mg5376.30円、３mg7867.70円
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数40人、販売金額1.6億円
加算なし
水に分散させてかき混ぜて服用する製剤。結節性硬化症は、体のあらゆる箇所に良性の腫瘍を引き起こす疾患で、難病情報センターによると、患者は国内に１万5000人はいると考えられる。手術が治療法になるが、それが適応にならない場合の治療薬はなかった。上衣下巨細胞性星細胞腫は脳に発症する。
▽ディレグラ配合錠（フェキソフェナジン塩酸塩と塩酸プソイドエフェドリン、サノフィ）
効能・効果：「アレルギー性鼻炎」
薬価（１錠）：62.00円（１日薬価248.00円）
市場予測（ピーク時４年後）：投与患者数140万人、販売金額150億円
有用性加算（２）５％：加算理由「既存の抗ヒスタミン薬で効果が不十分とされている鼻閉症状に関して、フェキソフェナジン塩酸塩に対する統計学的な優越性が検証されている点については、一定程度の評価は可能であると考えられ、治療方法の改善が客観的に示されていると考える。」
眠気などが少ない第２世代抗ヒスタミン剤フェキソフェナジン30mgと鼻づまりなどに用いる交換神経刺激薬の塩酸プソイドエフェドリン60mgの配合剤で、１回２錠を１日２回投与する。
▽アメパロモカプセル250mg（パロモマイシン硫酸塩、ファイザー）
効能・効果：「腸管アメーバ症」
薬価（１カプセル）：431.90円（原価計算方式で算定）
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数810人、販売金額２億1000万円
加算なし
日本感染症学会などから開発要望があり、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で必要性が認められ、厚労省が開発を要請していたもの。
▽マラロン配合錠（アトバコンとプログアニ塩酸塩、グラクソ・スミスクライン）
効能・効果：「マラリアの治療及び予防」
薬価（１錠）：484.30円（原価計算方式で算定）
市場予測（ピーク２年後）：投与患者数40人（治療のみ）、販売金額20万円
加算なし
厚労省研究班から開発要望があり、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で必要性が認められ、厚労省が開発を要請していたもの。優先審査された。
▽ナーブロック筋注2500単位（Ｂ型ボツリヌス毒素、エーザイ）
効能・効果：「痙性斜頸」
薬価（2500単位0.5mL１瓶）：２万8902円円（原価計算方式で算定）
市場予測（ピーク時）：投与患者数2100人、販売金額6.9億円
加算なし
▽トレシーバ注フレックスタッチ、同注ペンフィル（インスリンデクルデク遺伝子組換え、ノボノルディスクファーマ）
効能・効果「インスリン療法が適応となる糖尿病」
薬価：300単位１筒1796円（１日薬価479円）、同１キット2546円（同679円）
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数34万人、販売金額120億円
加算なし
▽ビデュリオン皮下注用２mg（エキセナチド、アストラゼネカ）
効能・効果：「２型糖尿病」
薬価（２mg１キット）：3486円（１日薬価換算498円）
市場予測（ピーク時４年後）：投与患者数７万人、販売金額110億円
加算なし
日本イーライリリーが販売するGLP-1受容体作動薬バイエッタ皮下注（１日２回）と同成分の徐放製剤（週１回）。この製剤はアストラゼネカに承継された。
▽シムジア皮下注200mgシリンジ（セルトリズマブ ペゴル遺伝子組換え、ユーシービージャパン）
効能・効果「既存治療で効果不十分な関節リウマチ（関節の構造的損傷の防止を含む）」
薬価（200mg１mL１筒）：７万1297円（１日薬価5093円）
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数1.6万人、販売金額270億円
加算なし
PEG化抗TNF-α抗体の生物学的製剤。発売後は免疫・炎症領域に強いアステラス製薬とコ・プロモーションすることになっている。
▽ニュープロパッチ2.25mg、同パッチ4.5mg、同パッチ９mg、同13.5mg（ロチゴチン、大塚製薬）
効能・効果：2.25mg、4.5mgは「パーキンソン病、中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群」、９mgと13.5mgは「パーキンソン病」
薬価（１枚）：2.25mg270.30円、4.5mg416.50円、９mg641.80円、13.5mg826.50円
市場予測（ピーク時10年後）：投与患者数3.8万人、販売金額65億円
加算なし
１日１回投与の世界唯一のドパミン・アゴニストの経皮吸収型製剤。