協和発酵キリン 個別化治療薬の第1号となるポテリジオを発売
公開日時 2012/05/30 04:02
協和発酵キリンは5月29日、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の治療薬ポテリジオを発売した。同剤の承認と同時期にコンパニオン診断薬が承認されており、新薬発売と同時に診断薬と組み合わせて使う薬剤としては個別化治療薬としては国内初となる。抗CCR4抗体で腫瘍細胞がCCR4陽性である患者のみが治療対象。同社では専門MRは置かず、各エリアの血液の専門医のいる大学病院や基幹病院を対象にMR500人が他の自社製品とあわせて情報提供を行う方針。売上は3年後のピーク時に16億円を見込む。
ポテリジオは同社が開発した世界初のCCR4(CCケモカイン受容体4)を標的としたADCC活性により抗腫瘍効果を示すヒト化モノクローナル抗体。ATL細胞表面に存在するCCR4に結合し、ATL細胞を傷害して効果を発揮する薬剤で、CCR4が発現している患者が適用となる。
CCR4タンパクが発現しているか否かは、体外診断用医薬品としてコンパニオン診断薬「ポテリジオテストIHC」「同テストFCM」が、同社100%子会社の協和メデックスが発売されているため、診断薬で検査し、投薬可能か否かを判断する。ポテリジオテストIHCは、ATL患者のリンパ節や皮膚など組織を検体とした場合に使用し、ポテリジオテストFCMは、ATL患者の血液を検体とした場合に使用する。
協和発酵キリングループとして、治療薬とコンパニオン診断薬を手掛けるのは今回が初めて。
国内のALTの年間発症患者数は推定約1150人で、同剤はオーファンドラッグに指定されている。T細胞リンパ腫のなかでも悪性度が高い疾患であり、積極的な治療が必要とされるが、いまだ標準的治療法は確立されてない。CCR4はある種の造血器腫瘍において高発現することが知られており、ATLでは約9割の症例で発現していることが報告されている。
CCR4陽性の再発・再燃のATLに対して同剤を単剤投与した国内フェーズ2試験では、奏功率は50%(13/26例、完全寛解が30.8%、部分寛解が19.2%)と有用性が確認されている。