【AAN特別版】ぺランパネルによる追加療法 治療抵抗性のてんかん患者の発作頻度と応答頻度を向上
公開日時 2012/05/07 06:52
AMPA受容体拮抗薬のぺランパネルによる追加療法の有効性を、治療抵抗性を示す部分発作てんかん患者において検討した4つの第3相試験をもとにサブ解析した結果、追加療法によって発作頻度と応答頻度は向上していることがわかった。米New York UniversityのJ. French氏が、第64回米国神経学アカデミー年次学会(AAN、4月21から28日まで米ニューオリンズで開催)のオーラルセッションで、26日報告した。最も高頻度に使用されている抗てんかん薬(AED)4種類のうち、最低1種類以上使用する患者について解析したもので、他のAEDのメカニズムの存在によって、ぺランパネルの有効性は阻害されず、ぺランパネルは併用AEDを補強していることが示唆された。(米国ニューオリンズ発 森永知美)
ぺランパネルはAMPA受容体に高選択非競合的に拮抗する新規てんかん治療薬で、1日あたり最高12mgまで忍容できることがわかっている。また、これまでの第3相試験では治療抵抗性を示す部分発作てんかん患者の有意な発作頻度の減少と応答頻度の増加を示してきた。
今回の解析は、ぺランパネルのメカニズムが他の作用機序を持つAEDを補強しているかどうかを調べるため、2~12mg/日の投与量を検討した4つの第3相試験をもとに、併用薬剤別に発作頻度と応答頻度の変化を総合分析したもの。解析対象となったのは、1~3種類のAEDを使用しているにも関わらず抵抗性を示し、過去2年間で少なくとも2種類以上のAEDで治療を受けてきた12歳以上の患者1480例である。14%が1種類、51%が2種類、35%が3種類のAEDを使用していた。
評価項目は、二重盲検期間における28日あたりの発作頻度がどれだけベースラインから変化したかと、応答頻度(維持療法期間において28日あたりの発作頻度が ベースラインから50%以上減少した症例の割合)、また発作頻度の変化のプラセボ群との比較、に設定した。
被験者群はプラセボ群(442例)と2mg群(180例)、4mg群(172例)、8mg群(431例)、12mg群(255例)の5群。患者特性における群間差はなかった。最も多く併用されていたAEDは、カルバマゼピン(492例)、ラモトリジン(462例)、バルプロ酸(457例)、レベチラセタム(437例)の4種類で、これらを使用する患者の割合において群間差はなかった(それぞれのAEDの使用率は各群約3割~4割)。
発作頻度は、特に4mg群と8mg群、12mg群が大幅に減少していた。4mg群ではカルバマゼピン例が-19.7%、ラモトリジン例-20.6%、バルプロ酸例-26.2%、レベチラセタム例-19.0%で、8mg群ではそれぞれ-25.4%、-29.8%、-27.7%、-25.7%、12mg群ではそれぞれ-20.3%、-31.2%、-37.2%、-34.7%にのぼった。一方、プラセボ群での変化は、それぞれ-12.7%、-11.4%、-17.2%、-18.2%に留まっており、各ぺランパネル群との差は、3.0ポイント~20.8ポイントの開きがあった。
また応答頻度は、4mg群でカルバマゼピン例が19.6%、ラモトリジン例32.4%、バルプロ酸例34.7%、レベチラセタム例20.0%、8mg群ではそれぞれ29.7%、35.6%、38.3%、36.9%、12mg群ではそれぞれ31.3%、30.6%、36.5%、43.0%に上った。プラセボ群の応答頻度は、それぞれ23.1%、13.6%、20.0%、20.0%であった。
French氏は、これらの結果はこれまで第3相試験で報告されてきたぺランパネルの有効性と一致していると結論した。