大日本住友製薬 米Boston Biomedical Inc.買収を発表 がん領域参入へ
公開日時 2012/03/01 04:00
大日本住友製薬は2月29日、米Boston Biomedical Inc.(BBI)を買収したと発表した。BBI社はがん領域を専門とするバイオベンチャー企業。今回の買収で、がん幹細胞への抗腫瘍効果を発揮する分子標的薬のうち、最速で2015年の北米上市を目指すBBI608と、BBI503を獲得する。
今回の買収で大日本住友製薬はBBI社および同社株主に対し、一時金2億ドル、開発マイルストーン・最大5億4000万ドル、さらに販売マイルストーンとして北米と日本の年間売上高が40億ドルに達した場合に最大18億9000万ドルを支払う。
同日会見した大日本住友製薬の多田正世社長は、同社のグローバル戦略品であるラツーダ(統合失調症薬)の後継として、がん領域の分子標的薬を確保することができたと成果を強調した。また同社が、がん領域に参入する意義に触れ、アンメットメディカルニーズへの対応や研究開発型企業としての使命をあげ、「典型的なスペシャリティー領域であり、小さな営業組織でグローバル展開が可能」など、経営戦略との適合性も指摘した。
BBI社の買収により、経口の分子標的薬2剤(BBI608、BBI503)を確保することになる。いずれも、新規性が高く、がん幹細胞を標的に抗悪性腫瘍効果を発揮する。また、2剤とも異なる作用機序を有することから、他の化学療法剤との併用効果が期待されている。
BBI608の米国における開発ステージは、結腸直腸がんで2nd/3rdライン・単剤がP3を準備中。最速で2015年の北米上市を目指す。同様に、結腸直腸がん(2nd/3rdライン・併用)がP2段階、結腸直腸がん(1stライン・併用)がP1bを実施中、そのほか固形がん(1stライン・パクリタキセル併用)を対象にP1b/2を実施している。
一方、BBI503は、固形がん(安全性試験、単剤)を対象にP1を実施している。なお、日本国内では、2012年中に両剤の開発をスタートさせたい考えだ。