親戚のお節介オジさん
公開日時 2012/01/10 04:00
帰省するたびに、小言をいうオジさん。Kさんは転職を機に一矢報いたつもりだったのだが…。
__
あけましておめでとうございます。本年もリクルートエージェントと本コラムを、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、年末年始のようなまとまった休みは、転職エージェントにとって要注意の時。連休中に、心変わりしてしまう転職者がかなりいるからだ。
もちろん「時間に余裕ができて、冷静に考えられるようになった。熟慮のうえの判断」というなら我々がとやかく言うことはない。しかし、案外そうしたケースは少ないもので、8〜9割も希望条件を満たしている企業なのに、時間が有り余っているせいか考えすぎて、残った10〜20パーセントが二倍にも三倍に思え、転職に尻込みしてしまう人が少なからずいるのだ。
また、連休中に転職のことを家族・親族に打ち明け、いい顔をされずに決意が鈍るということもよくある。どうも妙な入れ知恵が好きなオジさんというのは、どこの一族にもいるものらしい。
もっとも、我々もこうした事態に手をこまねいているだけではない。事前に、『連休中の心構え』を話しておくだけで、無用な混乱はかなり避けられるのだ。
「実家に帰られて、転職の報告をすると、きっと色々なことを聞かれると思います。なかには『どうして転職しなければいけないんだ。石の上にも三年、我慢したほうが良いんじゃないか』という人もいるでしょう」
「あ、ソレ、うちのオジさんが言いそうな台詞です。いつも口やかましくって」
ネット事業A社に内定をもらったばかりのKさん(25歳)は、いかにもお説教はたくさんというふうに顔をしかめた。Kさんの実家はその地区の大地主で、正月や冠婚葬祭のある時には、数十人の親戚が実家に集まるのだという。
「Kさんは現職が有名老舗企業ですから、年配の人がそう思うのも、無理はありません。でも、そうしたときは、面接と同じと思えば良いんです。どうして転職を考えるようになったのか、なぜA社を選んだのか。これまでさんざんやってきたことと同じです。面倒くさがらずに論理立てて説明した方が、かえって話は早く済むと思いますよ」
「たしかに。そのオジさん、ホントお節介なんで、抑えるところ抑えておかないと。分かりました、気合い入れて行きます!」
従兄弟の結婚式のために帰省するKさんは、なにやらすごい意気込み。そして郷里から戻ってきたKさんは、それこそ意気揚々といった様子だった。
「子供の頃からガミガミ言われてきたオジさんに、コレコレこういう訳だから、自分の選択には確信を持っているって、真正面から言ってやったんですよ。そしたら、『お前も、立派になったな』なんて言って、あとはだんまり。ホント、気分爽快です」
こうして無事A社入社を決めたKさんは、それから暫くたったこの年末年始、ふたたび帰省することになった。
早速、オジさんのところに挨拶に行くと、いきなり「話がある」とオジさん。また転職のことで何か言ってくるのかと思い、身構えたKさんだったが…。
「お前、いま彼女はいるのか?」
「何それ?なんで、そんなこと聞くの?」
「いるのか、いないのか?」
「ま、まさか誰か紹介しようっていうの?勘弁してよ」
「俺だって時代というものは分かっている。見合いなんて堅苦しいことをするつもりはない。だがな、お前は身を固めるべきだ」
「俺、まだ25だから」
「いや、お前は今が婚期なんだよ。40を過ぎて婚活だなんて言っても、良い相手を見つけるのは大変だぞ」
「40って、あと15年もあるじゃないか」
「お前、言っていたじゃないか。今度の会社は仕事が面白いって。仕事に夢中になってみろ、15年なんてアッという間だ」
「アッという間って、そんなワケないだろ」
「少しは真剣に考えろ。キャリアキャリア言うんだったら、そっちの方もしっかり計画立てなきゃダメじゃないか」
こうして、我々のところにはKさんからのグチメールが。
「いきなり別の方向から攻めてきて。こういうのには、どう反論したら良いのでしょう?なにかアイディアがありますか?」
Kさんの窮状には同情するが、実に転職と縁談は似て非なるもの。我々は「オジさんもKさんのことを一人前と認められているわけですから、頑張ってください」と、毒にも薬にもならないコメントを返すだけなのであった。
|
リクルートエージェントはMRの転職市場に精通した専任キャリアアドバイザーがキャリア相談・求人紹介などの転職支援サービスを提供している。医療業界企業660社から求人を寄せられている他、異業界での転職にも対応する業 界最大手の転職エージェントである。
リクルートエージェントHP |