厚労省 新薬を承認 新規HCV薬や希少難病CAPS治療薬など18品目
公開日時 2011/09/27 04:02
厚労省は9月26日、新薬18品目を承認した。 この中にはC型肝炎ウイルス(HCV)の複製に関与する酵素NS3-4Aセリンプロテアーゼを阻害することでウイルス増殖を抑える新規作用を持つテラビック錠(田辺三菱製薬)や、国内患者数数十人の難病CAPS(クリオピリン関連周期性症候群)の国内初の治療薬イラリス皮下注用(ノバルティスファーマ)などがある。薬価収載が必要な薬剤は、順調なら年内中に収載され、公的保険で使えるようになる。
承認された薬剤は次のとおり。
▽テラビック錠250mg(テラプレビル、田辺三菱製薬):ジェノタイプ1aまたは2bのC型慢性肝炎の治療薬で「血中HCV RNA量が高値の未治療患者、インターフェロン製剤の単独療法、又はリバビリンとの併用で無効または再燃となった患者」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
国内治験では、標準治療のペグインターフェロンとリバビリンに併用した場合、従来のペグインターフェロンとリバビリン療法と比較して、治療効果の改善と治療期間の短縮が確認されている。過去にペグインターフェロンとリバビリンで治療したものの、再燃、無効患者でも有効性が認められた。今年1月に承認申請し、優先審査された。
▽献血ヴェノグロブリンIH5%静注0.5g/10mL、同1g/20mL、同2.5g/50mL、同5g/100mL(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、ベネシス):「全身型重症筋無力症(ステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」の効能・効果を追加する新効能医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。
▽イムセラカプセル0.5mg(成分名:フィンゴリモド塩酸塩、田辺三菱製薬)、ジレニアカプセル(同、ノバルティスファーマ):「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。
▽イトリゾール内容液1%(イトラコナゾール、ヤンセンファーマ):「真菌感染症/真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症/好中球減少が予想される血液増悪腫瘍または造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は、「真菌感染症」についてはない。「発熱性好中球減少症」では残余期間(平成24年10月19日)。「深在性真菌症の予防」は4年。
▽フェソロデックス筋注250mg(フルベストラント、アストラゼネカ):「閉経後乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
▽プロイメンド点滴静注用150mg(一般名:ホスアプレピタントメグルミン、小野薬品):「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
経口のNK1受容体拮抗型制吐薬イメンドカプセル(一般名:アプレピタント)のプロドラッグ。がん患者の中には経口剤の服薬が困難な人がいるほか、抗がん剤には点滴静注で投与される薬剤が多いことから開発された薬剤。
▽アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL(ベバシズマブ遺伝子組換え、中外製薬):「手術不能または再発乳がん」の効能・効果、用法・用量を追加。再審査期間は残余期間(平成27年4月17日)。
▽テリボン皮下注用56.6μg(テリパラチド酢酸塩、旭化成ファーマ):「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を効能・効果とする新投与経路・新効能、新用量医薬品。再審査期間6年。
テリパラチドは骨形成促進作用のあるヒト副甲状腺ホルモン(ヒトPTH)製剤で、週1回の皮下投与。 主成分のテリパラチドは、日本イーライリリーの「フォルテオ皮下注」と同じ成分だが、リリーのは遺伝子組換えに対し、旭化成のは化学合成。
▽ペガシス皮下注90μg、同皮下注180μg(ペグインターフェロンアルファ-2a遺伝子組換え、中外製薬):「B型慢性活動性肝炎におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。
▽イラリス皮下注用150mg(カナキヌマブ遺伝子組換え、ノバルティスファーマ):「クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。
CAPSは、炎症に関与するインターロイキン(IL)-1βが過剰に産生されることで起これるといわれ、生後すぐや幼児期から40度にも及ぶ発熱や激しい関節痛が断続的に繰り返され、さらには聴覚や視覚の障害、骨・関節の変形なども引き起こすこともある。同剤は、IL-1βと特異的に結合することで、炎症を抑える。
「CAPS患者・家族の会」が国内で使えるよう厚生労働省に要請している3つの治療薬の1つ。厚労省は、開発の必要性の高い未承認薬と判断、昨年同社に開発要請。同社は要請前の09年から約20人の患者を対象に国内開発を進めていた。原則8週ごとの投与だが、8週以内に再燃するケースもあり、今回の承認では、最高用量でも再燃した場合は4週間隔の投与も認めた。
▽ムコスタ点眼液UD2%(レバミピド、大塚製薬):「ドライアイ」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。
▽タコシール組織接着用シート(ヒトフィブリノゲン、トロンビン画分、CSLベーリング):「肝臓外科、肺外科、心臓血管外科、産婦人科及び泌尿器外科領域における手術時の組織の接着・閉鎖」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間6年。