アジアスポットライト 中国のトップ医薬品卸が急成長
公開日時 2011/09/22 04:00
中国商業省によると、2010年の中国の医薬品卸および小売薬局市場は対前年比24.6%増の7080億元(1109億ドル)に達した。また、医薬品卸業トップ3社のマーケットシェアは、積極的な買収により流通網を拡大、5.8%ポイント伸び、26.7%となった。
しかし、今年上半期の医薬品産業の成長は、エセンシャルドラッグのサプライヤーに対するAnhui(安徽省)入札モデルの拡大‐入札を獲得した企業がすべての入札を獲得するシステム‐や薬価の引き下げの影響を受け、鈍化してきた。
中国の第12次5か年計画では、政府は年商1000億元以上の医薬品卸業のグループの育成を計画している。そのなかで、Sinopharm GroupとShanghai Pharmaceutical Holdingsは小規模企業買収に忙しく、「成長鈍化どこ吹く風」で熱気覚めやらない様子だ。中国最大の医薬品卸、Sinopharmは、今年第1四半期は前年同期比48%という目覚ましい成長を記録、480億元(75億ドル)に達した。しかし、純利益は投資額の増加や買収費用の増加などで29%増に留まり、12億元となった。
だが、同社ほどの大規模卸となると入札モデルの変更などの影響は他社に比べ小さいと思われ、証券アナリストは、「同社のグロスマージンは2011年以降も8.2%程度を維持、44600品目以上のポートフォリオを持つのでメーカーに対して価格交渉力があり、しかも、流通以外の付加価値サービスも提供できる」と同社の今後に楽観視している。
現在、中国市場は、大都市は成熟市場となりつつある。上海ではまだ8.2%の成長を示している一方、北京は対前年比0.8%ダウンだ。政府が、大都市よりも県レベルでの市場の成長を目指していることもあって、県レベルでの成長がSinopharm成長のカギを握るといってもよいと言われている。同社の市場カバー率を見ると、中国のトップレベルの病院の87%、1070病院をカバー、中国全土では61%、7802病院をカバーしている。
同社は現在、県や中小都市への流通網拡大を進めており、今年上半期には27件の買収等を行い、現在の39の流通センターに7の流通センターを加えた。また、全土の32県のうち30県をカバーした。今後、2-3の都市での買収を計画している。
Shanghai Pharmaceutical HoldingsはSinopharmとは違って、医薬品製造部門を持っているが、今年上半期の売上は卸事業の好調が寄与し、対前年同期比36.1%増の252億元となった。同社は、エセンシャルドラッグリストの後発品(EDL) や国民医薬品償還リスト(NDRL)への価格引き下げ圧力への対応として、後発品事業から提携パートナーと組んでの画期的新薬開発・販売への転換を考えている。
同社は、昨年、第3位卸、Citic Pharmaceutical(北京市)を買収、卸部門の売上は前年比46.2%増をマークした。
しかし、卸部門の強い成長は、同社の製造部門の上半期の売上42億元に達したものの、前年比11%増という比較的緩やかな成長によってブレーキを掛けられた格好だ。
(The Pink Sheet 9月12日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから