キャリアコンサルタントの独り言 第9回 勤務先を内資or外資で決めていいのか
公開日時 2011/09/14 04:00
株式会社インテリジェンス
DODAキャリアコンサルタント/メディカルグループ マネジャー
堀 学
「転職するなら内資製薬企業のほうがいいです」。
キャリアカウンセリングの場で、多くの求職者から寄せられる希望条件だ。このような要望を聞いた際、我々キャリアコンサルタントは、「内資」「外資」のカテゴリーで分けに、一体何の意味があるのだろうかと考える。彼らの主張はこうだ。
「内資企業のほうが安定しているように思えるんです」。
そこには、何をもって安定しているのかの定義もなく、明確な立証もなく(だからこそ、思える、という曖昧な言葉となる)、自分が何を果たしていくのか、という展望もないように見受けられる。ただ、都市伝説のように信じられている、「外資=リストラクチャリングが激しい」というイメージに縛られているようだ。
改めてお伝えしたいが、「内資」「外資」のカテゴリー分けに意味はない。内資だろうが外資だろうが必要に応じてリストラクチャリングを進めていくし、企業の経営環境は随時変化していく。所属する企業がM&Aの対象となるかもしれないし、M&Aすらかなわず、衰退していく可能性もある。必要なのは、不測の事態に対応できる、エンプロイアビリティ(雇用されうる能力)をいかに身に付けて行くかだ。
企業の採用条件は想定以上にシビアだ。たとえば、ある製薬企業では「新薬の領域特化の経験を求めており、新薬とジェネリックを同時に取り扱っているMRは採用対象外」というケースがある。またある企業では「病院担当かつ薬審にて新薬の採用経験があるMRのみ応募可能」という採用条件を設けるケースもある。もちろん、一定の共通項はあるものの、細部を見れば企業が求めているMR像は企業ごとに異なっている。
大切なことは、「自分自身がどのようなMRとして活躍していきたいか」というキャリアビジョンを明確に持ち、それに沿って今不足していることをはっきりさせ、その乖離を埋めるためにキャリアを形成することである。それがエンプロイアビリティの獲得につながる。安易な内資・外資のイメージから転職先を決定するのではなく、理想の自分像に向けて行先を決定することこそが、自分が納得するキャリア構築のために必要なのだ。