キャリアコンサルタントの独り言 第7回 「MR総数」を考える(下)
公開日時 2011/08/02 04:00
株式会社インテリジェンス
DODAキャリアコンサルタント/メディカルグループ マネジャー
堀 学
前回は「MR総数」の是非について、その背景や理由についてまとめてみた。大別すると論点は2つあり、ひとつはIT技術の発達や企業内で新しい職種の誕生に伴い、MR機能の代替化が進んでいる点、もうひとつは、製薬企業の収益構造の変化や自主規制による旧来型営業への歯止めといった環境変化が起きている点だ。今回はその論点を踏まえ、実態として「MR総数」に変化は起こり得るのかを考察したい。
MR認定センター発行の「MR白書」によると、実はここ10年間のMR数は、07年を除き増加傾向にある。実数値として、有資格者数は06年の52,199人から10年の57,616人まで、5年間で5,000人以上の増加となっている。結論から言えば、MR機能の代替化や環境変化に関わらず、MR数の増加傾向は今後も続くと予想される。
情報技術の発達によりMRの活動方法や求められる情報の質に変化は起こるものの、MRそのものの代替化までは進まないと考えられる。またメディカルアフェアーズ、メディカルサイエンスリエゾンなどの新職種の登場についても、それら新職種に携わる人の絶対数は、MR数と比較すると圧倒的に少ないこともあり、MR数への影響は想像よりずっと少ないと考える。
では「MR総数」の中身、つまり「業態別のMR数」には変化はないのだろうか。
実はここに見過ごせない事実がある。それは過去5年間で、新薬メーカーにおける正社員のMR数は48,000~49,000人台で前後しており、ほぼ横ばいである一方、CSOの数は40%増、ジェネリックメーカーのMR数は約20%以上増えている。
上記の理由により、改めて「MR総数」について考えてみると、今後も増加傾向にあるが、「業態別のMR数」には変化があると予想される。新薬メーカーのMR数は横ばい、もしくは中長期的には減少する可能性がある一方、CSOの数は、新薬メーカーのコストダウンや新薬上市タイミングでの営業強化の目的から、増加が見込まれるだろう。またジェネリックメーカーのMR数は、後発医薬品の数量シェアを30%以上にするという国の後押しを受け、今後も増加していくと思われる。
MRにとってキャリアの選択肢の幅が広がることはポジティブだが、各個人がどのようなキャリアを歩みたいかをしっかりと考え、相対的な強みを見つけ伸ばしていくことが必要な時代になったと言えるだろう。